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CHARACTER
今回の十夜戦争ではこれらの種族が侵略者から聖域を守ります。
彼らはそれぞれ違った能力や考え方を持っています。
最初はお互いを受け入れられずギクシャクしますが、 話が進むにつれて段々と絆を深めます…
CHARACTER

世界を彩るキャラクター達

今回の十夜戦争ではこれらの種族が侵略者から聖域を守ります。 彼らはそれぞれ違った能力や考え方を持っています。
最初はお互いを受け入れられずギクシャクしますが、 話が進むにつれて段々と絆を深めます…

寡黙なるジェムサマナー

主人公

失われた力、《召喚魔法》を受け継ぐシュテアネ族の召喚士。
呼び出したガーディアンに、自らの魔力を分け与える能力を持つ。
召喚された種族も年齢も異なる個性豊かなガーディアンたちに、内心戸惑いを感じている。
無口な性格だが なんとしても自分たちの世界を守り抜くという覚悟を胸に秘めて戦う。

種族
シュテアネ

『主人公』

『紫苑』

「こうして会うのも、随分久しぶりじゃのう?桔梗」

夜空を見上げながら、紫苑がつぶやく。深い森の中にある少し開けた場所、

月明かりに照らされる瓦礫の上に並んで腰かけ、紫苑と桔梗は月を見ていた。

太陽が昇れば、この月もしばらく見られなくなる。

白夜が始まるのだ。

「覚えておるか?わしらが最後に会った日も、一緒に月を眺めたことを」

数百年に一度、世界を襲う厄災。

かつてこの世界が犯した過ち、その罪を償い続けるかのような、終わらない戦。

いつしかその戦は「十夜戦争」と呼ばれるようになった。

「約束の石」を持つ者達が召喚士の下に集い、虚空の門より現れる侵略者達を迎え撃つ。

十日間に渡り、世界を覆いつくそうとする侵略者。無事に攻撃を凌ぎ切れば、再び門は閉じ、世界は元の姿を取り戻す。

侵略者達を止める事が出来なければ、待っているのは破壊だ。

ひとたびそれを許してしまえば、門が閉じた後の世界が元通りになる保証はない。

紫苑にとって、今回は二度目の戦いだった。

彼女にはかつて仲間がいた。

守るべき故郷があった。

愛すべき友人も、家族も。

一度目の戦いは、紫苑のすぐ側で起こった。紫苑の周りの世界はすっかりかたちを変え、元に戻ることはなかった。

紫苑は国を去った。何も守れなかった自分には、居場所がないと思った。

この戦いに参加した召喚士と守護者は全員死んだものと思われ、誰も紫苑を探さなかった。

ある日、行き倒れ同然の紫苑を、桔梗が助けた。彼は一人で旅をしていた。

紫苑は野垂れ死ぬつもりはなかったので、しばらく桔梗の世話になることにした。

短い間だが、二人は一緒に旅をした。

紫苑の、新しい居場所を見つけるまでの旅だった。

程なくして二人は、誰も紫苑のことを知らない、小さな町に辿り着いた。

紫苑はそこを気に入り、暮らすことに決めた。

最後の夜、二人は近くの山に登り、月を見た。

小さな神社の石段に腰かけ、夜が明けるまで一緒に過ごした。

紫苑が目を覚ます前に、桔梗は町を後にした。

それから二十年、三十年と、時は流れた。長命なあやかし族にとって、それが長い時間だったのか、

短い時間だったのかはわからない。更に時は経ち、紫苑は新たな召喚士のもとへと呼ばれた。

「わしはもう、何も失いたくはない」

簪に付けられた「約束の石」が、風に揺られる。

紫水晶を濃くしたような石の縁には、丁寧な金細工が施されている。体の小さな紫苑には、少し不釣合いなほど大きい。

紫苑の肌は、暗闇でもそうとわかるぐらいに白い。

月光を浴びる紫苑の横顔に、桔梗は一瞬心を奪われそうになる。

夜にしか咲かない、真っ白な花がある、という話を訊いた事があるのを思い出す。

見たことはないが、きっと美しいのだろう。

「…何を呆けておる?」

紫苑はぴょん、と地面に降りると、着物の裾を直しながら、桔梗の方に向き直った。

「参るぞ、若造共が待っとる」

桔梗が頷き、二人はゆっくりと、森の外へ向かって歩き始める。

決戦の地、そして新たな「仲間」の待つ場所へと。

シュテアネ族とは?

希石を使うことで、遠くの人間を使役する能力『ジェムサマナー』を持つ種族。

召喚師自身に戦う力はないが、召喚した相手の能力を増幅させる力を持つ。戦争においては指揮役になる。 十夜戦争以外では、封印の島で羊を飼って細々と暮らしている。外部との交流がないため、シャイな人間が多い。

古に大戦を引き起こした邪悪な王も、シュテアネの一人だったという伝説がある。

十夜の案内役

ヤンス

ゴーレムと呼ばれる、主人公たちの案内役となる人造生命体。戦闘能力はない。
はるか昔から十夜戦争の案内役としての使命を担っており、今回の戦いでも主人公たちを導くための助言をする。
いつ誰が何のために作ったのかは不明で、本人も覚えていないらしい。

種族
ゴーレム(非戦闘員)

『ヤンス』

ッキイィーン……

金属が震えるような起動音が脳内に響く。前回起動したのはいつだったか。ログを辿る。ついでに現在地と現在時刻も検索する。目を開けて、周囲を見渡す。

「…目が覚めたかい?えーと、ヤンス」

小さく枯れた声で、名前を呼ばれた。首をそちらへ向ける、ピントを合わせ、ぼんやりしていた視界をクリアにする。誰か立っている、逆行でよくわからないが、声から察するに老年の男性だろう。

「…おはようでやんす」

身体を起こし、ぺこりとお辞儀をする。おはようございます、と口にしたつもりだったのだが、いつの頃からか、私の言葉にはおかしな口調のフィルターがかかるようになっていた。明らかなバグだと思うのだが、これといって不便もなかったので、もう放置している。

「よく寝たようだね、ははっ」

今まで通りなら、百年単位でスリープしていた筈だ。埃を被らないように、蓋付きの箱に収められていたこの身体。立ち上がり、手足の関節がちゃんと動くか確認する。

「仕事だよ、仕事」

男性が続ける。

「あいつらが来る。わかるな?あいつらだ」

言い聞かすように繰り返す。侵略者の事だ。忘れるわけがない。何故なら私は、奴らを撃退するために存在しているから。奴らの侵攻を食い止めるため、私は協力者である新たなマスターに仕えねばならない。

「あなたが今回のマスターでやんすか?」

「いや、ワシじゃないよ。孫が外で待ってる。狭いからな、外で待たせておる」

小さな石造りのこの部屋は、何人も入ってくる事を考慮されていない。私が眠るためだけに作られた、小さな寝室。ベッドは布が詰められた、この石の箱。箱には私の身体にあるものと同じような幾何模様が刻まれている。なんなら素材も一緒かもしれない。

「よいしょ」

身体を揺らし、背中に薄い光の膜を出現させる。形作られた翼は、勝手にヒラヒラと揺れ始める。実際に羽ばたいて空を飛ぶわけではないのに、この光翼を出さないと飛べない。製作者の遊び心なのか。

ヤンスは音もなくゆっくりと浮かび上がり、フワフワと男性の後ろを付いて行った。灰のように真っ白な長髪が目に入った。これは種族特有のものである。彼の頭髪は若いころからこの色だった筈だ。同じ色の髪をしたマスターに、私はかつて仕えていた筈だった。きっともうこの世にはいないのだろう。

寝室は地下にあり、地上までの階段を登らねばならない。まぁ、私は飛んでいるので特に関係ないのだが。入り口を抜けると、外は快晴で、澄み切った青空に輝く太陽が眩しかった。季節はちょうど春。まるで冬眠から目覚めた動物みたいだ。周りには特に目立つものも無い高原。眠りに就いた時から、何か変わっただろうか?

「おーい、おーい」

男性が呼ぶと、少し離れた場所に立っている、肌の白い人物が振り返る。この場所は小高い丘の上にある。きっと下の景色を眺めていたのだろう。複雑な文様が描かれたモノトーンのローブを着たその人物が、ゆっくり歩いてくる。胸元には《召喚士》の証である白い希石が輝いていた。オパールのように、淡く七色に輝く石。形はちょっと違うが、私のおなかにも同じものが付いている。

「こいつがワシの孫だ、今回お前さんと一緒に戦う召喚士、ほれ、挨拶せんか」

促されて、召喚士は頭を下げる。老人と同じ真っ白い髪の毛。透き通るようなパールピンクの瞳が、無言でこっちを見つめている。かなり若く見えるが何歳ぐらいだろう。彼らの寿命を考えると十数歳から二十数歳の間か。

失われたはずの力、《召喚魔法》の一部を受け継ぐ唯一の種族、ジェムサマナー。かつては召喚士の一門の呼び名だった筈だが、いつしか彼ら自身を現す言葉となっていた。彼らはその力で、守護者達を呼び寄せ、侵略者を食い止める。世界が望まぬ形に、書き換えられぬように。

「よろしくでやんす」

「こんな所にいても仕方ない、とりあえずワシの家に来るといい、うん」

男性はそう言うと、すぐに歩き始めた。確かにここには何もない。周りを見渡しても、緑と黄色の斑模様の景色が広がっているだけの、時の止まったような場所。かつて人の営みがあった事を示唆する遺跡が点在しているものの、何も知らない者が見ればただの瓦礫か岩にしか見えないだろう。《聖域》とも称されるこの大きな島には、もう召喚士の一族以外は暮らしていない。断崖絶壁に囲まれ、他の大陸とも遠く離れたこの島は、外の世界との交わりを拒むように存在し続けている。寂しい場所だが、私にはとても美しく見える。このままずっと変わらずに、私がゆっくりと眠れる場所であり続けて欲しい。…人工物である自分が、そんな事を考えるのはおかしいだろうか。

私はいわば「記録係」とでも言うべき存在だった。十夜戦争の際に目覚め、召喚士とその仲間、《ガーディアン》を導くのが役目。戦いが終われば再び眠りに着き、次の戦いを待つ。そうして、戦いの記憶を受け継いでいく。この身体が朽ち果てるまで。

それだけのために作られた筈の自分が、何故感情を持っているのか、不思議だった。ただの記録装置に、恐れや感傷といった気持ちがあったら、邪魔ではないのか。感覚も同じだ。作り物の身体だが、優しい風が肌を撫でるのを感じ取ることができる。

視線を感じて目を上げる。…どうやら動きが止まっていたらしい。若きマスターが、振り返ってこちらを見ていた。早く来い、とでも言いたげに。男性に至ってはもうだいぶ前を歩いている。

「…」

目が合う。考えを見透かされるような、真っ直ぐな瞳。なんだかばつが悪くなる。

「変でやんすよね。ただの自動人形が、色々と余計な事を考えちゃうんでやんすよ」

ははっ、と作り笑いをする。この身体は、感情に対応して、様々な表情を作ってくれる優れものだ。少し間を置いてから、変じゃない、とでも言うように、召喚士は静かに首を振った。

「感情は…必要」

消え入るような小さな声で、召喚士がつぶやく。話しながら、少しずつ視線が外れていく。どうやら相手の目を見て喋るのが苦手らしい。

「心が無ければ…侵略者と、同じ」

言い終えると、そのまますぐに早足で歩き始めてしまった。顔には出さなかったが、照れているようだった。

「そう…でやんすね」

その通りかもしれない。この感情が無かったら、今の自分は存在するだろうか。この世界を美しいと思う心が無かったら、果たして私は、誰かを助けようと思うのだろうか。

以前もこんなやりとりがあった気がした。かつてのマスターだったろうか。曖昧な記憶。困った事に、こういった会話は記録されていかない。

「…喋れるんでやんすね」

ヤンスは独りつぶやく。今回の召喚士様は無口で、しかも相当な照れ屋のようだ。もうすぐここへガーディアン達がやってくる。十日間の戦争が、始まる。…上手くゆけば良いのだが。

ゴーレムとは?

はるか昔、世界を守った召喚師が希石で造ったゴーレム。

戦う能力を持たないが封印戦争の知識を持ち、召喚師の子孫とガーディアンたちの戦いをサポートする

ガーディアン
『射止める弾丸』

サザナミ

CV : 笹倉 豊

エクレール族の銃兵。
高い頭脳と卓越した射撃能力を持つ、軍学校の生徒。サボり癖があり成績はイマイチ。
他者との関わりを面倒に思っている傾向があるものの、戦場では冷静な判断力で指揮を執る事もある。
後輩であるカナデには慕われているが、冷たくあしらいがち。

種族
エクレール
タイプ
長距離攻撃タイプ

『サザナミ』

ダークグレーの建造物の屋上で、サザナミは無機質な街並みを眼鏡越しに見下ろしていた。点在する水色の魔力灯がかろうじて町を彩っているが、エクレールの造った街はとても華やかとは言い難い。

教室棟と訓練棟を結ぶ渡り廊下の屋上。見える風景はともかく、サザナミはこの場所が好きだった。穏やかな風が、無造作な青髪を撫でる。

退屈な学校生活とも、しばらくお別れだな。

そんなことを思いながら、コバルトブルーのガンケースに目を落とす。中には最新鋭のライフルが収納されている。撃ち出されるのは鉛の弾丸ではなく魔力の結晶。試作品も含め、この国に3丁しかない特別製だ。サザナミ自身は何度か実戦を経験しているが、これを使うのは初めてだった。

「お前も遂に実戦デビューか…無事に持って帰れなかったら、弁償できる自信はないな」

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サザナミの所属する《王立マギアアカデミー》

魔力を制御し、インフラやガジェットなど、様々な目的に役立てようとする科学技術である《応用魔法》に関する研究活動を行う機関であり、軍学校も兼ねている。生徒であるサザナミはここで、歩兵としての訓練をこなしながら、応用魔法を用いた特殊な携行武器の扱いを学んでいる。このライフルもその一つだった。この世界に存在する魔法生物と呼ばれる特殊な生き物。その中でも特に危険なものを駆除するために開発され、日夜改良が進められている。

アカデミー随一の射撃の腕前と、学科でもトップクラスの成績を持つサザナミに、国から直々の任務が与えられたのは、一週間ほど前の事だった。

教員に呼び出され、サザナミが理事長室へ行くと、青い口ひげを蓄えた、見知らぬ中年エクレールがソファに座っていた。

「王立マギアアカデミー、歩兵科訓練生のサザナミ君だね」

男が立ち上がり、サザナミに話しかける。身長が高く、服の上からでも良く鍛えているのが判る。エクレール陸軍の制服を着ていなかったら、格闘家か何かだと思っていただろう。

「はぁ」

知らない男に急に名前を呼ばれ、怪訝そうな顔で声を漏らすと、きちんと返事をしろ、と教員に一喝された。サザナミは成績こそ良いが、残念ながら品行方正とは言い難い生徒だった。教員の風当たりも強い。

「私はエクレール陸軍、魔法生物対策部隊長官、イワクニ大佐だ」

魔法生物対策部隊。城壁に囲まれたこの国に、望まれぬ訪問者が現れぬよう外で睨みを利かせる連中だったか。主に害獣駆除を行う部隊。サザナミはそう認識していた。以前実習だかで、ハンティングのような任務に参加させられた記憶がある。その時この男がいたかは、もう覚えていない。

「まずはこれを受け取って欲しい」

差し出されたのは、サザナミが左腕に装備しているものと同型と思われる、白い通信デバイスだった。よく見るとサザナミのものと違い、奇妙な形に加工された、青い宝石のようなものが埋め込まれている。最新型なのだろうか?

「単刀直入に言おう。君に、この世界を救う任務を与える。」

「…ふざけてるのか?」

「サザナミィィ!」

教員がテーブルを叩く音が、理事長室に響いた。

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シャワーを浴び、夕日が差し込む寮の自室で、ベッドに寝転がりながら昼間の出来事を思い出すサザナミ。

「やっぱりふざけてる…」

一人つぶやくと、夕日を遮るためにカーテンを閉め、再び横になる。ルームメイトは先週の訓練中に怪我をして、現在は病院にいる。怪我は治っているのだが、復帰できない精神状態らしい、との噂だった。噂の真相はどうでも良かったが、実質一人部屋になっているのがサザナミにはありがたかった。

今日与えられた情報を整理する。

サザナミに与えられた任務は、《十夜戦争》と呼ばれる作戦への参加。目標は、この世界に明確な敵意を持っている《侵略者》と呼ばれる魔法生物。便宜上、魔法生物と呼称しているが、解析が進んでいない未知の存在であり、生物であるかどうかも怪しいらしい。十日間に渡り、その侵略者が出現する《門》と呼ばれるポイント付近で迎撃体制を取り、目標を撃破、侵攻を食い止める。というものだった。その十日間を凌ぎ切れば、再び門は閉じ、侵攻も終わる。

門から現れる侵略者は、放置すればウイルスのようにこの世界の生態系を書き換えてしまう厄介な存在だという。「世界を救う任務」というのも、あながち冗談ではないようだ。

ここまではまあ理解できた。昼間に会ったナントカ大佐が所属する魔法生物対策部隊の仕事も、それに近いものだとサザナミは認識していた。問題は、サザナミが選ばれた理由と、作戦の場所。

「選ばれたエクレールのメンバーは全部で二人。そのうちの一人として、《希石》が君を選んだ。光栄に思いたまえ」「作戦の場所はまだわからない。一週間もすれば、その希石が光り輝き、君は然るべき場所に召喚されるだろう。健闘を祈る」

新しく支給された通信機に埋め込まれている青い宝石、希石と言っていたか。この石に選ばれた《ガーディアン》だけが侵略者に触れることができる。持ち主となるガーディアンはこの石が選ぶという。どうだ、オカルトだろう。プレス機にぶち込んでしまおうかと思ったが、もしこの話が国家ぐるみのジョークでなかった場合、軍規違反で銃殺される恐れがあったのでやめておいた。

そういえば数百年前にも同じような出来事があったと、なにかで習った気がする。自分には関係がない、昔話だと思っていたのだが…。

その日サザナミは、夕食を食べに行かずにそのまま朝まで寝てしまった。

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次の日から、サザナミは十夜戦争に関する文献を漁り始めた。不満をつぶやいているだけでは建設的ではないので、その戦争のことを調べ尽くしてやろうと思った。サザナミは周囲からやる気の無い人間だと思われているが、実際はそうでもない。応援しているアイドルのライブ中継を観に行く事と、未来において自分が楽に生きる為の準備は欠かさない。

「理不尽には慣れてる。元はといえば、俺達は奴隷だったからな」

かつて虐げられていた種族特有のジョークを口にしながら、アカデミーのライブラリーにある本や資料に片っ端から目を通すサザナミ。前回の十夜戦争の資料が、思ったよりもたくさん出てきた。そりゃそうか、そんな大災害の記録が残っていないわけがない。異形の侵略者、廃墟に変えられた街、といった資料に目を通すうちに、サザナミは不安に駆られる。

「俺は、生きて帰れるのか…?」

侵攻を食い止められず、不毛の地となった国の記事を見つけた。召集されたメンバーの力が及ばなければ、当然そうなる。それだけは避けなければ。サザナミは恐れる気持ちを抑え、侵略者の資料に手を伸ばす。

あの軍人が話していた冗談みたいな言葉の一つ一つが、現実味を持って襲ってくる。

「いや、生きて帰ってみせる。見知らぬ戦場で死んでたまるか…!」

侵略者の調査が終わったら、次は他の大陸に暮らす様々な種族や、《召喚士》と呼ばれる指揮官。《クリスタル》と呼ばれる、守るべき存在。次々と現れるキーワードを、片端から調べていく、自分たちは何と戦い、何を守るのか。どんな仲間がいて、どうすれば戦いに勝てるのか?サザナミは必要と思われることも、必要ないかもしれないことも、必死に調べ続けた。あっという間に一週間が過ぎた。

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「緊張してますか?センパイ」

エクレールの女子生徒が、大きなサイドテールを揺らしながらサザナミの顔を覗き込む。今回のパートナーだと、教員から紹介された少女、カナデ。

どういう基準で選ばれたのか全く分からない、実戦経験もない新入生のお嬢様。

「別に」

自分の事だけでも手一杯なのに、女子生徒の面倒など見ていられない、と適当にあしらっていたのだが、どうもそれが気に障ったらしく、グイグイ絡んでくるようになってしまった。彼女なりの意地があるのだろう。

「私、センパイのお役に立てるように努力しますね!一緒にがんばりましょう!!」

「ああ…無理はするなよ」

笑顔で話しかけてくるカナデ。怖くはないのだろうか?自分は彼女を守れるのか?一瞬、そんなことを考えてしまう。

希石の輝きはいよいよ強くなっていた。程なくして、俺たちは見知らぬ戦場に放り込まれるのだろう。

さて、どんなチームが待っているやら…

エクレール族とは?

この世界でもっとも数が多い民族。魔力を持たず身体能力も高くないが、希石のエネルギーを使用することで科学を発展させ、戦闘能力をブーストする兵器を使い戦う。

近代的な文明を持ち、規律ある軍隊が存在する。『サザナミ』と『カナデ』はその中でも優秀な成績を持つエリート兵士。

多様な種族が住むこの世界の中では、比較的冷静さを持つものが多い。そのため、十夜戦争において個性豊かなガーディアンたちのまとめ役を押し付けられやすいのが悩みのタネ。

ガーディアン
『溢れる愛情』

カナデ

CV : 葉月 真衣

エクレール族の槍兵。
軍学校に入学して間もない、サザナミの後輩生徒。まじめで成績優秀な頑張り屋。
実戦経験は皆無だが、憧れの先輩であるサザナミに認められるため、共に戦う事を決意する。
おっとりした性格だが頑固なところがあり、自分で決めたことは絶対に曲げようとしない。

種族
エクレール
タイプ
近接攻撃タイプ

『カナデ』

沈まない太陽が、平原の草木をうっすらと照らしている。
カナデのスピアの切っ先が青く煌き、《クリスタル》めがけて蠢く《侵略者》の身体を軽やかに引き裂く。
遠い昔に戦場で使われていた魔力のみなもと《希石》。エクレール族の技術で加工し、武器に魔力を供給している。侵略者を迎え撃つために開発された最新鋭の槍だ。
それは使い手の内に秘められた能力を最大限に引き出し、カナデの可憐さとは裏腹に恐ろしい切れ味を発揮する。

最後の一体だった侵略者が霧散するのを確認し、大きなサイドテールをかきあげると左腕の通信デバイスを起動した。
埋め込まれた石が水色に発光し、カナデの青髪を照らす。

「終わりました~!合流します!」
「了解、こっちも片付いた。お前たちが最後だな。」

エクレール族の相方であるサザナミの返答を確認し、通信を切る。これでこのエリアの防衛は完了した。
白夜の平原が、再び静寂を取り戻す。明日には森に進み、予定通り最深部の遺跡を目指すことになるだろう。

「カナデって、戦ってる時わくわくしてる感じするよね」

さきほどクリスタルを共に防衛した、グリフル族の女戦士ポワカが声をかけてくる。
大きな爪のついた手甲が武器で、頭には狼の耳が生えている。顔のペイントがチャームポイントだ。
召喚士のもとに集ったろくに面識もない、育った環境も価値観も異なる4種族のちぐはぐチームの中で、ポワカはそれぞれの仲を取り持つよう気を遣ってくれている。
カナデよりも幼い印象があるが、お姉さん気分の話し方をするのがほほえましい。

「そんな感じに見えるの?センパイにいい所見せなきゃって、張り切っちゃってるから…かな?」

戦闘モードだったスピアを操作し、システムを待機モードに切り替える、槍頭の青い光が消えた。

「ふぅん。サザナミがカナデの強さのみなもとなのかな?」
「みなもと…?そうなのかな?」
「希石は人の想いが強いほど、力を発揮するってあたしのお祖母ちゃんが言ってたの」
「想い…」

カナデは左腕を上げ、通信デバイスに埋め込まれた青い希石を見つめる。
召喚士がカナデたちガーディアンを呼び出す際にも希石が使われており、ガーディアンも一人一個、それぞれ希石を身に着けている。
召喚士とガーディアンの結びつき、想いが深いほど、希石によってガーディアンの力が増幅される…とポワカが祖母に伝え聞いた話を説明する。

「カナデがサザナミを大好きな気持ちが、希石でカナデの馬鹿力のみなもとになってるのかもって思ったの」
「馬鹿力ってけっこうな言われよう…じゃなくて!大好きって…私そういうつもりじゃ…」

さくらんぼのように赤く染まったカナデの頬を、ポワカが笑いながらぷにぷにとつつく。

「ずっとサザナミの背中を目で追ってるんだもん。わかるよ」
「えぇぇー…恥ずかしい…」

悶えるカナデをなだめながら、不思議そうな表情をポワカが浮かべる。

「大好きなのはわかるけど…なんでサザナミなのかな?って部分がフシギ。サザナミは悪いやつではないと思うけど、無愛想だし…」

歯に衣着せぬポワカのコメントに、思わずカナデが吹き出す。グリフル族はまっすぐで隠し事ができない性質と聞いているが、ここまで素直だとは。

「この人は私の特別、って気がついたんだよね」

******

カナデは優秀な学生だった。
その場で求められている、もっともベストな相手が求める答えを直感で見つけることができる。
家族や教師、皆が求めるままに学び続けた結果、気がつけばエクレール族でも特に優れた者のみが入学することができる、《王立マギアアカデミー》に推薦されていた。
軍学校を兼ねた、魔法の研究機関である。

優秀な成績でアカデミーに入学したカナデは、学校内でも指折りの実力者と評される男子生徒――サザナミとコンビを組むよう命じられた。
この学校には伝統的に、「師匠が弟子を育てるように、先輩が後輩の面倒を見る」という教育システムがあった。
アカデミーの母体となった組織のひとつに、職人たちの厳格な徒弟制度が存在していたことの名残である。

「サザナミさんかぁ…イケメンだったらどうしよう」

教員に呼び出されたカナデは、会議室のような空き教室でサザナミと初めて対峙した。
ボサボサの青髪に、黒縁の眼鏡をかけたその男子生徒はカナデにこう言い放った。

「俺は自分以外の人間に期待していないし、下手に頑張らずにそこらで遊んでいてくれて構わない。足を引っ張られたら面倒だ」

目を合わせることなく、カナデが握手を求めた手も宙に浮いてむなしくスルーされる。
教員が叱る声も全く意に介さず立ち去るサザナミの後姿を、呆然と見送るしかなかった。なにこの人。

******

――超超超感じ悪い!何を考えてるんだろう。
訓練棟のシャワールームで、カナデはここ最近の怒りを噛み締めていた。
サザナミとコンビを組んで一週間が経過したが、彼はカナデを煙に巻いてすぐ一人でどこかに行ってしまうし、
何かを聞いても「自分で考えろ」「今は忙しい」ぐらいの答えしか返ってこない。
コンビを組む目的は、先輩の技術や心構えを教わったり、一緒に任務をこなすことなのに、これでは何も意味がない。
腹立たしい。最近サザナミのことばかり考えている自分にも腹が立つ。

「今まではみんながして欲しいこと、すぐわかったのになぁ」

石鹸をものすごい勢いで泡立てながらつぶやく。今までカナデは、周りが求めるように動いて結果を出す事が当たり前だった。
みんながやるべきことを教えてくれる。私はそれに従えばいいだけ。それでみんなは喜んでくれた。
でも、サザナミは何を考え、何を望んでいるのかまったくわからないし、何も教えてくれない。彼は今までカナデの周りにいた、誰とも違う存在だった。

「私、どうしたらいいのかな…」

石鹸から生まれた小さなシャボン玉が、いくつもふわふわと舞っている。何で私が悩まなくちゃいけないんだろう。私は悪くないのに。
考えながら俯くと、パーテーションに備え付けられた小物置き場に誰かの眼鏡があるのを見つけた。忘れ物かな、後で事務に届けよう。
カナデがまだぶつぶつ言いながら石鹸を無限に泡立てていると、背後に人の気配を感じた。
この時間にここに来る生徒といえば、カナデかルームメイトのリッカぐらいしかいない。
いつものようにルームメイトがやってきたと思い、カナデは外を確認した。

「りっちゃん?」

そこにいたのはカナデが想定したルームメイトのリッカではなく、制服を着た男子生徒だった。
トマトでもここまで赤くならないだろうというレベルの顔色のサザナミが、驚いた表情のまま立ち尽くしている。

「いや、これは」
「おまわりさーーーーーんッ!!!!」

カナデは反射的にシャワーヘッドを壁から引きちぎり、モーニングスターの要領で頭めがけて殴りかかる。
実戦経験こそないものの、格闘訓練は一通りこなしている。的確に急所を狙ったスムーズな攻撃がサザナミを襲うが、
日々訓練をこなしているのは彼も同じ、間一髪攻撃を回避し、シャワーヘッドが壁に突き刺さった。右に大きく跳んで、シャワー室の入り口に移動する。

「くそ、もう女子の入浴時間だったか…!」

眼鏡を忘れて取りに来たのだとカナデに説明し謝りたいが、今は無理そうだ。ここは一旦離脱して、落ち着いたらゆっくり弁明しよう…今は逃げないと殺される。
思考を巡らせながら脱衣所に戻ろうとした刹那、カナデがえいっ!と何かを投げつけてきた。それはサザナミが忘れていった眼鏡だった。

「うおぉい!」

大事な眼鏡をキャッチしようと反射的に前に身を乗り出すサザナミ。
しかしタイミングを合わせるように、全身泡だらけのカナデがサザナミに向かって踏み込んできた。
右腕を思い切り振りかぶっている。

「しまっ…」

しまった、といい終わる前に、サザナミは意識を失った。
眼鏡に気を取られ隙を晒したサザナミの無防備な顔面に、カナデの渾身の右ストレートがクリーンヒットしたのだ。

サザナミが意識を取り戻すと、脱衣所の床に、両腕をタオルで縛られた状態で正座させられていた。
制服の胸元が鼻血で赤く染まっている。
カナデが氷のように冷酷な声で尋問を始める。彼女はもう制服ではなく、紺色のジャージに着替えていた。

「…忘れ物を取りに来ただけ?ホントですか?」
「そうだよ…眼鏡をシャワールームに忘れて、まだ男子の入浴時間だと思っていたから…」
「じゃあなんで逃げたんですか?間違えましたごめんなさいって謝ればいいじゃないですか!!」
「そんな雰囲気じゃなかっただろ!」

殺されるかと思ったわ!と叫びながら、サザナミの声のトーンが落ちていく。

「…あ、いや、本当に悪かったよ…頼むからもう許してくれ…」

懇願するような眼差しで弁明するサザナミをみて、カナデは初めて彼が自分と目を合わせたことに気がつく。
――この人、意外とかわいい目してるんだ。

普段はポーカーフェイスのセンパイが、トラブルとはいえこんなに情けない表情で自分を見上げている…。
ぞくぞくとサディスティックな快感がカナデを支配する。私だけが見ることができる、この人のいろんな顔がもっと見たい。
クールな表情だけじゃなくて、まだ見たことのないかわいい顔や、かっこわるい顔も、全部――

******

サザナミとの出会いを話し終えると、カナデはきゃーっと両手で顔を覆い、上半身をギュンギュンくねらせる。
槍が倒れて岩にぶつかり、ガラン!大きな音を立ててる、ポワカがビクッと肩を震わせる。

「そのときからね、この人に認められたい、なにがなんでも振り向かせたい!って思うようになったの。態度は相変わらずだけど、最近はちょっと話も聞いてくれるようになったし…」
「そ、そっか…色んな恋のはじまり方がある…よね…?」

ポワカのやや引き気味な様子に気づかず、カナデはうっとりした顔で語り続ける。

「今まで、みんなの要求に応えてなんとなーく頑張ってきた。でも、そこに私自身が何かしたいって気持ちはなかったんだ。
…十夜戦争の話を聞いたときも、最初はびっくりしたけどすぐに受け入れられた。私にはやるべきことがあるんだ、って…」

ポワカが黙って話を聞く。

「でもね、いまセンパイに認めて欲しいっていうのは、私自身の望み。初めて自分の意思で何かが欲しい、何かがしたいって思えた。
自分のために頑張るのも、大変だけどすごく楽しいって気づけた…センパイと一緒に戦うことになったのも、きっと運命なんだって…!」

ガーディアン同士は、希石を通じて、想いを魔力に転化する。
互いに助け合い、信じあう絆を作ることで、ガーディアンは本当の強さを手にする。ポワカは祖母からそう伝え聞いていた。
サザナミに対し、一方的に暴走する恋する乙女、カナデ。夢見るような表情で話し続ける彼女を見ながら、ポワカは考える。

「カナデとサザナミの想いはちゃんと通じ合ってるのかな…?それにみんなとあたし、召喚士さんの気持ちも…」

エクレール族とは?

この世界でもっとも数が多い民族。魔力を持たず身体能力も高くないが、希石のエネルギーを使用することで科学を発展させ、戦闘能力をブーストする兵器を使い戦う。

近代的な文明を持ち、規律ある軍隊が存在する。『サザナミ』と『カナデ』はその中でも優秀な成績を持つエリート兵士。

多様な種族が住むこの世界の中では、比較的冷静さを持つものが多い。そのため、十夜戦争において個性豊かなガーディアンたちのまとめ役を押し付けられやすいのが悩みのタネ。

ガーディアン
『忠義の刃』

桔梗

CV : 中島 和輝

あやかし族の剣士。
剣一筋の侍で、単体での戦闘力は随一。自信過剰なところがあり、他人と足並みを揃えるのが苦手。
長命な種族で、100年前の十夜戦争でも紫苑と別の戦場で刀を振るい、勝利を納めている。
長く生きているせいか話が長く、何かを語り始めると止まらなくなる事がある。

種族
あやかし
タイプ
状態異常攻撃タイプ

『桔梗』

六畳ほどの小さな和室で、桔梗は武具の手入れをしていた。大きな太刀と甲冑以外のものが殆ど見当たらない、殺風景な部屋だ。ろうそくの火が、浅黒い肌から生えた二本の鬼灯色の角を照らす。

あと七日もすれば、彼は見知らぬ場所で、その大きな刀を振るっている事だろう。甲冑の胴部分に取り付けられた《希石》。紫に輝くその石は、かつて師と仰いだ男より受け継いだ形見の品だ。かつて桔梗は、《ガーディアン》であったその男に代わり、戦った。

《十夜戦争》

百年に一度、《召喚士》と呼ばれる存在が、希石に選ばれたガーディアンを集め、戦う。異界の《門》より現世に這い出る、《侵略者》と呼ばれる存在を自らの手で退治する。彼らに触れ、倒すことができるのはガーディアンのみ。石を持たない者は、触れることができず、ひとたび侵略者に敵意を向けられれば、一方的に命を奪われることになる。敵意と言ったが、彼らにはそもそも意思などないのかもしれない。

侵略者を封印する結界となる《クリスタル》を狙う存在。石が壊されれば今度は無差別に周りの物を襲い始める。まるでこの世界に恨みでもあるかのように、動物、植物、大地、全てを無に還そうとする。

桔梗は守護者として、十夜戦争に勝利した。

犠牲者を出す事もなく、数え切れぬほどの侵略者を切り伏せ、誇らしい気持ちで都へ戻った。自分は世界を守った。帰れば、また平穏な世の中が待っている。そう思った。

現実はそう簡単ではない、と知ったのは、少し時間が経ってからだった。戦いが終わった後は、連日の様に勝利の宴が催され、桔梗は英雄扱いだった。ある夜、桔梗は別の場所で起きた十夜戦争の話を耳にした。

ここからそう遠くない別の場所。隣の国でも、門は開いていた。そこでは、桔梗のいた戦場とは比べ物にならない規模の侵攻が起こっていたらしい。十日目の夜に、召喚士、ガーディアンともに全滅。その中には、桔梗と同じあやかし族の者も居たという。石は破壊され、結界は弱まった。夜が明けるまでの間、門からは濁流の如く侵略者が溢れ出た。門の出現地点となっていた山はおろか、麓の町までもが蹂躙された。大きく拡大した暗紫色の門は、さながら虚空に開いた痛々しい傷口の様だったという。

桔梗は愕然とした。

自分は、たまたま自分の目の届く範囲を守れただけに過ぎない。世界を見渡せば、あちこちで被害は出ているのだろう。そしてそれは、自分には想像もできないぐらい大きなものかもしれない。

気づくと桔梗は旅に出ていた。その足は、甚大な被害が出たという隣国を目指していた。何故そうしたのかはわからないが、彼は自分の力で、困っている誰かを救えるのではないか、と考えたのだろう。桔梗は若かった。

程なくして、彼は行き倒れていた一人の女性を助ける事になる。彼は知らなかったが、その女性こそが、先の戦いで全滅したと思われていたガーディアンの一人、紫苑だった。透き通るような白い肌と、艶やかな葡萄色をした長い髪が印象的な美しい女性だったが、その表情には深い悲しみが張り付いていた。

彼女は新しい家を探している、とだけ話した。桔梗は、その小柄なあやかしの女性の居場所を、一緒に探すことにした。

何故旅をしているのか、と彼は聞かれた。経緯を話すと、紫苑はこう言った。

「少なくともお主は自分の役目は果たした。何も恥じることは無かろう。自分の力以上のモノを抱えようとすれば、抱えきれない分は全部こぼれ落ち、壊れてしまうぞ」

彼女の言葉は、その見た目とは裏腹にとても力強かった。同時にそれは、彼女自身に言い聞かすようにも見えた。桔梗は少し救われた気持ちになった。自分が世界の全てを守りたい、などというのは傲慢な考えだったかもしれない。確かに自分の剣で守れるものは限られている、限られているとしても、手が届くものを守ることに、全力を尽くすしかないのだ、と。

やがて紫苑の居場所が見つかり、二人の旅は唐突に終わりを告げた。辿り着いたのは、小さな、何も無い町だった。桔梗は、紫苑が寝ている間に、何も告げずに彼女の元を去った。彼女と別れることに未練があるのを自覚していた、不器用な彼なりの判断だった。

国へ戻り、桔梗は、改めて決意した。自分がこの国と、民を守り抜く、と。

それはそれとして、勝手に国を留守にした桔梗には、それなりの罰が与えられた。

あやかし族とは?

数は多くないが、寿命がとても長い一族。山奥に里を作りひっそりと暮らす。

永い時を生きて得た豊富な知識を幻術に活かし、敵を惑わす。

主従関係に忠実で、過去仕えた主君に対して義理を果たす傾向にある。

あやしげな技を使い、気に入った人間を惑わせ陥落させる魔性の種族と噂されている…?

ガーディアン
『知恵のひとひら』

紫苑

CV : 宮木 南美

あやかし族の魔術師。
見た目に反して100年以上生きており、経験豊富なチームの影のまとめ役である。
達観しているように見えるが、かわいい女の子が好きな一面があり、気に入った子によくちょっかいを出して困らせている。
桔梗とは違う場所で過去の十夜戦争に参戦したが、召喚士の力が及ばず敗北。仲間と故郷を失ったため、侵略者の完全な封印を渇望している。

種族
あやかし
タイプ
特殊能力タイプ

『紫苑』

「こうして会うのも、随分久しぶりじゃのう?桔梗」

墨で塗りつぶされたように真っ黒な夜空を見上げながら、紫苑がつぶやく。深い森の中にある少し開けた場所、月光だけが鋭く輝き、瓦礫に腰かける二人のあやかし族を照らしていた。太陽が昇れば、この白銀の月もしばらく見られなくなる。白夜が始まるのだ。

桔梗と呼ばれた二本の角を持つ男性は、大きな身体を甲冑に包み込み、紫苑から少し身体を離して座っている。小柄な紫苑とは、親子ほどの対格差がある。

「覚えておるか?わしらが最後に会った日も、こうして一緒に月を眺めた事を」

紫苑が桔梗との距離を詰め、懐かしむような眼差しで語りかける。桔梗は黙って頷き、記憶の奥底にあった紫苑の姿を脳裏に甦らせた。

百年に一度、世界を襲う厄災。

かつてこの世界が犯した過ち、その罪を償い続けるかのような、終わらない戦。いつしかその戦は《十夜戦争》と呼ばれるようになった。

《希石》を持つ者達が《召喚士》の下に集い、虚空の《門》より現れる《侵略者》達を迎え撃つ。十日間に渡り、世界を覆いつくそうとする侵略者。無事に攻撃を凌ぎ切れば、再び門は閉じ、世界は元の姿を取り戻す。侵略者達を止める事が出来なければ、待っているのは破壊だ。

ひとたびそれを許してしまえば、門が閉じた後の世界が元通りになる保証はない。

紫苑にとって、今回は二度目の戦いだった。彼女にはかつて仲間がいた。守るべき故郷があった。愛すべき友人も、家族も。

一度目の戦いは、紫苑のすぐ側で起こった。紫苑の周りの世界はすっかりかたちを変え、元に戻ることはなかった。

紫苑は国を去った。何一つ守れなかった自分には、居場所がないと思った。この戦いに参加した召喚士とガーディアンは全員死んだものと思われ、誰も紫苑を探さなかった。

ある日、行き倒れ同然の紫苑を、桔梗が助けた。彼は一人で旅をしていた。紫苑は野垂れ死ぬつもりはなかったので、しばらく桔梗の世話になることにした。

短い間だが、二人は一緒に旅をした。紫苑の、新しい居場所を見つけるまでの旅だった。もう一人ではないという安心感からだったのだろうか、秋も終わりに近づこうという寒い頃であったにも関わらず、紫苑の心はぽかぽかと暖かかった。

程なくして二人は、誰も紫苑のことを知らない、小さな町に辿り着いた。あやかしとは明らかに異なる外見の種族もいた。様々な理由があってこの町を選んだ者たちが集まっていた。紫苑はそこを気に入り、暮らすことに決めた。最後の夜、二人は町の近くの山に登り、月を見た。今日と同じような、突き刺すように美しい満月だった。見捨てられたような小さな神社の石段に腰かけ、二人は夜が明けるまで一緒に過ごした。

そして、紫苑が目を覚ます前に、桔梗は町を後にした。

それから二十年、三十年と、時は流れた。長命なあやかし族にとって、それが長い時間だったのか、短い時間だったのかはわからない。更に時は経ち、紫苑は新たな召喚士のもとへと呼ばれた。

「わしはもう、何も失いたくはない」

簪に付けられた希石を、夜風が揺らす。《ガーディアン》に選ばれた証である、紫水晶を濃くしたような石。その縁には、丁寧な金細工が施されている。体の小さな紫苑には、少し不釣合いなほど大きい。

紫苑の肌は、暗闇でもそうとわかるぐらいに白い。月光を浴びる紫苑の横顔に、桔梗は一瞬心を奪われそうになる。夜にしか咲かない、真っ白な花がある、という話を訊いた事があるのを思い出す。見たことはないが、きっと美しいのだろう。

「…何を呆けておる?」

紫苑はぴょん、と地面に降りると、着物の裾を直しながら、桔梗の方に向き直った。二つに結ばれた髪が、動きに合わせて小さく揺れる。

「参るぞ、若造共が待っとる」

桔梗が頷き、二人はゆっくりと、森の外へ向かって歩き始める。決戦の地、そして新たな「仲間」の待つ場所へと。

あやかし族とは?

数は多くないが、寿命がとても長い一族。山奥に里を作りひっそりと暮らす。

永い時を生きて得た豊富な知識を幻術に活かし、敵を惑わす。

主従関係に忠実で、過去仕えた主君に対して義理を果たす傾向にある。

あやしげな技を使い、気に入った人間を惑わせ陥落させる魔性の種族と噂されている…?

ガーディアン
『加速する牙』

ポワカ

CV : 寺島 あかり

グリフル族の格闘家。
大家族の長女で、面倒見のよい性格。他のガーディアンとも分け隔てなく接するが、文化の違いに戸惑う事もしばしば。
幼少期からガーディアンとなるべく育てられており、未知の侵略者への恐怖心は持ち前の精神力で抑えつけている。
優れた格闘センスを持ち、幼馴染のアロをよく組み手で負かしていたらしい。

種族
グリフル
タイプ
近接攻撃タイプ

『ポワカ』

『紫苑』

「こうして会うのも、随分久しぶりじゃのう?桔梗」

夜空を見上げながら、紫苑がつぶやく。深い森の中にある少し開けた場所、

月明かりに照らされる瓦礫の上に並んで腰かけ、紫苑と桔梗は月を見ていた。

太陽が昇れば、この月もしばらく見られなくなる。

白夜が始まるのだ。

「覚えておるか?わしらが最後に会った日も、一緒に月を眺めたことを」

数百年に一度、世界を襲う厄災。

かつてこの世界が犯した過ち、その罪を償い続けるかのような、終わらない戦。

いつしかその戦は「十夜戦争」と呼ばれるようになった。

「約束の石」を持つ者達が召喚士の下に集い、虚空の門より現れる侵略者達を迎え撃つ。

十日間に渡り、世界を覆いつくそうとする侵略者。無事に攻撃を凌ぎ切れば、再び門は閉じ、世界は元の姿を取り戻す。

侵略者達を止める事が出来なければ、待っているのは破壊だ。

ひとたびそれを許してしまえば、門が閉じた後の世界が元通りになる保証はない。

紫苑にとって、今回は二度目の戦いだった。

彼女にはかつて仲間がいた。

守るべき故郷があった。

愛すべき友人も、家族も。

一度目の戦いは、紫苑のすぐ側で起こった。紫苑の周りの世界はすっかりかたちを変え、元に戻ることはなかった。

紫苑は国を去った。何も守れなかった自分には、居場所がないと思った。

この戦いに参加した召喚士と守護者は全員死んだものと思われ、誰も紫苑を探さなかった。

ある日、行き倒れ同然の紫苑を、桔梗が助けた。彼は一人で旅をしていた。

紫苑は野垂れ死ぬつもりはなかったので、しばらく桔梗の世話になることにした。

短い間だが、二人は一緒に旅をした。

紫苑の、新しい居場所を見つけるまでの旅だった。

程なくして二人は、誰も紫苑のことを知らない、小さな町に辿り着いた。

紫苑はそこを気に入り、暮らすことに決めた。

最後の夜、二人は近くの山に登り、月を見た。

小さな神社の石段に腰かけ、夜が明けるまで一緒に過ごした。

紫苑が目を覚ます前に、桔梗は町を後にした。

それから二十年、三十年と、時は流れた。長命なあやかし族にとって、それが長い時間だったのか、

短い時間だったのかはわからない。更に時は経ち、紫苑は新たな召喚士のもとへと呼ばれた。

「わしはもう、何も失いたくはない」

簪に付けられた「約束の石」が、風に揺られる。

紫水晶を濃くしたような石の縁には、丁寧な金細工が施されている。体の小さな紫苑には、少し不釣合いなほど大きい。

紫苑の肌は、暗闇でもそうとわかるぐらいに白い。

月光を浴びる紫苑の横顔に、桔梗は一瞬心を奪われそうになる。

夜にしか咲かない、真っ白な花がある、という話を訊いた事があるのを思い出す。

見たことはないが、きっと美しいのだろう。

「…何を呆けておる?」

紫苑はぴょん、と地面に降りると、着物の裾を直しながら、桔梗の方に向き直った。

「参るぞ、若造共が待っとる」

桔梗が頷き、二人はゆっくりと、森の外へ向かって歩き始める。

決戦の地、そして新たな「仲間」の待つ場所へと。

グリフル族とは?

寿命は短いが繁殖力が強く、エクレールに次いで人口の多い種族。好戦的で身体能力が高く、戦士としての強さでコミュニティの中の地位が決定する価値観を持つ。自然の中で生きることを好むため、身につけるものも自然由来のものが多い。

敵対勢力に対して非情だが、仲間や家族と認めた相手への情はあつい。

直情的で、良くいえば素直、悪く言えば単純バカな性格で、友達を作るならまっすぐなグリフル族!と評判。

ガーディアン
『大地の怒り』

アロ

CV : 大久保 宇将

グリフル族の戦士。
熱い闘志を持った若き戦士。怪力が自慢だが、まだ自分の力を制御しきれないため一人前とはいいがたい。
プライドが高く、弱い者は絶対に認めないという信念があるが、空回りして自分がミスを犯す事もしばしば。
根は甘えん坊らしく、幼少期を知るポワカには色々弱みを握られているようだ。

種族
グリフル
タイプ
広範囲攻撃タイプ

『アロ』

『紫苑』

「こうして会うのも、随分久しぶりじゃのう?桔梗」

夜空を見上げながら、紫苑がつぶやく。深い森の中にある少し開けた場所、

月明かりに照らされる瓦礫の上に並んで腰かけ、紫苑と桔梗は月を見ていた。

太陽が昇れば、この月もしばらく見られなくなる。

白夜が始まるのだ。

「覚えておるか?わしらが最後に会った日も、一緒に月を眺めたことを」

数百年に一度、世界を襲う厄災。

かつてこの世界が犯した過ち、その罪を償い続けるかのような、終わらない戦。

いつしかその戦は「十夜戦争」と呼ばれるようになった。

「約束の石」を持つ者達が召喚士の下に集い、虚空の門より現れる侵略者達を迎え撃つ。

十日間に渡り、世界を覆いつくそうとする侵略者。無事に攻撃を凌ぎ切れば、再び門は閉じ、世界は元の姿を取り戻す。

侵略者達を止める事が出来なければ、待っているのは破壊だ。

ひとたびそれを許してしまえば、門が閉じた後の世界が元通りになる保証はない。

紫苑にとって、今回は二度目の戦いだった。

彼女にはかつて仲間がいた。

守るべき故郷があった。

愛すべき友人も、家族も。

一度目の戦いは、紫苑のすぐ側で起こった。紫苑の周りの世界はすっかりかたちを変え、元に戻ることはなかった。

紫苑は国を去った。何も守れなかった自分には、居場所がないと思った。

この戦いに参加した召喚士と守護者は全員死んだものと思われ、誰も紫苑を探さなかった。

ある日、行き倒れ同然の紫苑を、桔梗が助けた。彼は一人で旅をしていた。

紫苑は野垂れ死ぬつもりはなかったので、しばらく桔梗の世話になることにした。

短い間だが、二人は一緒に旅をした。

紫苑の、新しい居場所を見つけるまでの旅だった。

程なくして二人は、誰も紫苑のことを知らない、小さな町に辿り着いた。

紫苑はそこを気に入り、暮らすことに決めた。

最後の夜、二人は近くの山に登り、月を見た。

小さな神社の石段に腰かけ、夜が明けるまで一緒に過ごした。

紫苑が目を覚ます前に、桔梗は町を後にした。

それから二十年、三十年と、時は流れた。長命なあやかし族にとって、それが長い時間だったのか、

短い時間だったのかはわからない。更に時は経ち、紫苑は新たな召喚士のもとへと呼ばれた。

「わしはもう、何も失いたくはない」

簪に付けられた「約束の石」が、風に揺られる。

紫水晶を濃くしたような石の縁には、丁寧な金細工が施されている。体の小さな紫苑には、少し不釣合いなほど大きい。

紫苑の肌は、暗闇でもそうとわかるぐらいに白い。

月光を浴びる紫苑の横顔に、桔梗は一瞬心を奪われそうになる。

夜にしか咲かない、真っ白な花がある、という話を訊いた事があるのを思い出す。

見たことはないが、きっと美しいのだろう。

「…何を呆けておる?」

紫苑はぴょん、と地面に降りると、着物の裾を直しながら、桔梗の方に向き直った。

「参るぞ、若造共が待っとる」

桔梗が頷き、二人はゆっくりと、森の外へ向かって歩き始める。

決戦の地、そして新たな「仲間」の待つ場所へと。

グリフル族とは?

寿命は短いが繁殖力が強く、エクレールに次いで人口の多い種族。好戦的で身体能力が高く、戦士としての強さでコミュニティの中の地位が決定する価値観を持つ。自然の中で生きることを好むため、身につけるものも自然由来のものが多い。

敵対勢力に対して非情だが、仲間や家族と認めた相手への情はあつい。

直情的で、良くいえば素直、悪く言えば単純バカな性格で、友達を作るならまっすぐなグリフル族!と評判。

ガーディアン
『孤高の光陣』

クランティヴ

CV : 高井 周平

アースガルズ族の絶魔導士(自称)。
生まれながらに、絶大なる魔力を秘めし聖なる刻印を持つ、選ばれし存在…と、本人は言っている。
ガーディアンに選ばれたのは当然の定めであると思っており、詳しい事は自分でもよくわかっていないが特に気にしていない。
思い込みが強く誰にでも上から目線だが、悪気はない。

種族
アースガルズ
タイプ
広範囲攻撃タイプ

『クランティヴ』

『紫苑』

「こうして会うのも、随分久しぶりじゃのう?桔梗」

夜空を見上げながら、紫苑がつぶやく。深い森の中にある少し開けた場所、

月明かりに照らされる瓦礫の上に並んで腰かけ、紫苑と桔梗は月を見ていた。

太陽が昇れば、この月もしばらく見られなくなる。

白夜が始まるのだ。

「覚えておるか?わしらが最後に会った日も、一緒に月を眺めたことを」

数百年に一度、世界を襲う厄災。

かつてこの世界が犯した過ち、その罪を償い続けるかのような、終わらない戦。

いつしかその戦は「十夜戦争」と呼ばれるようになった。

「約束の石」を持つ者達が召喚士の下に集い、虚空の門より現れる侵略者達を迎え撃つ。

十日間に渡り、世界を覆いつくそうとする侵略者。無事に攻撃を凌ぎ切れば、再び門は閉じ、世界は元の姿を取り戻す。

侵略者達を止める事が出来なければ、待っているのは破壊だ。

ひとたびそれを許してしまえば、門が閉じた後の世界が元通りになる保証はない。

紫苑にとって、今回は二度目の戦いだった。

彼女にはかつて仲間がいた。

守るべき故郷があった。

愛すべき友人も、家族も。

一度目の戦いは、紫苑のすぐ側で起こった。紫苑の周りの世界はすっかりかたちを変え、元に戻ることはなかった。

紫苑は国を去った。何も守れなかった自分には、居場所がないと思った。

この戦いに参加した召喚士と守護者は全員死んだものと思われ、誰も紫苑を探さなかった。

ある日、行き倒れ同然の紫苑を、桔梗が助けた。彼は一人で旅をしていた。

紫苑は野垂れ死ぬつもりはなかったので、しばらく桔梗の世話になることにした。

短い間だが、二人は一緒に旅をした。

紫苑の、新しい居場所を見つけるまでの旅だった。

程なくして二人は、誰も紫苑のことを知らない、小さな町に辿り着いた。

紫苑はそこを気に入り、暮らすことに決めた。

最後の夜、二人は近くの山に登り、月を見た。

小さな神社の石段に腰かけ、夜が明けるまで一緒に過ごした。

紫苑が目を覚ます前に、桔梗は町を後にした。

それから二十年、三十年と、時は流れた。長命なあやかし族にとって、それが長い時間だったのか、

短い時間だったのかはわからない。更に時は経ち、紫苑は新たな召喚士のもとへと呼ばれた。

「わしはもう、何も失いたくはない」

簪に付けられた「約束の石」が、風に揺られる。

紫水晶を濃くしたような石の縁には、丁寧な金細工が施されている。体の小さな紫苑には、少し不釣合いなほど大きい。

紫苑の肌は、暗闇でもそうとわかるぐらいに白い。

月光を浴びる紫苑の横顔に、桔梗は一瞬心を奪われそうになる。

夜にしか咲かない、真っ白な花がある、という話を訊いた事があるのを思い出す。

見たことはないが、きっと美しいのだろう。

「…何を呆けておる?」

紫苑はぴょん、と地面に降りると、着物の裾を直しながら、桔梗の方に向き直った。

「参るぞ、若造共が待っとる」

桔梗が頷き、二人はゆっくりと、森の外へ向かって歩き始める。

決戦の地、そして新たな「仲間」の待つ場所へと。

アースガルズ族とは?

神族の血を引くとも言い伝えられる種族で最初の十夜戦争から参加している。

総じて高い魔力を持つが、繁殖力が低く非常に人口が少ない。

雲の上に都市を築いており、地上との交流が殆ど不可能な閉鎖的な国だったが、近年は通信技術の発達により徐々に他国との外交も増えつつある。

ガーディアン
『気まぐれな星』

リュゼ

CV : 三浦 愛恵

アースガルズ族の歌姫。
普段はアイドルグループに所属しており歌を中心に活動しているが、長年に渡る高い人気も最近は下降気味。
突然ガーディアンに選ばれ、最初は逃げようとしたものの、引退前に一花咲かせようと決意し戦場に降り立つ。
外ヅラは良いが、同族であるクランティヴに対してはしばしばキツく当たっている。

種族
アースガルズ
タイプ
特殊能力タイプ

『リュゼ』

『紫苑』

「こうして会うのも、随分久しぶりじゃのう?桔梗」

夜空を見上げながら、紫苑がつぶやく。深い森の中にある少し開けた場所、

月明かりに照らされる瓦礫の上に並んで腰かけ、紫苑と桔梗は月を見ていた。

太陽が昇れば、この月もしばらく見られなくなる。

白夜が始まるのだ。

「覚えておるか?わしらが最後に会った日も、一緒に月を眺めたことを」

数百年に一度、世界を襲う厄災。

かつてこの世界が犯した過ち、その罪を償い続けるかのような、終わらない戦。

いつしかその戦は「十夜戦争」と呼ばれるようになった。

「約束の石」を持つ者達が召喚士の下に集い、虚空の門より現れる侵略者達を迎え撃つ。

十日間に渡り、世界を覆いつくそうとする侵略者。無事に攻撃を凌ぎ切れば、再び門は閉じ、世界は元の姿を取り戻す。

侵略者達を止める事が出来なければ、待っているのは破壊だ。

ひとたびそれを許してしまえば、門が閉じた後の世界が元通りになる保証はない。

紫苑にとって、今回は二度目の戦いだった。

彼女にはかつて仲間がいた。

守るべき故郷があった。

愛すべき友人も、家族も。

一度目の戦いは、紫苑のすぐ側で起こった。紫苑の周りの世界はすっかりかたちを変え、元に戻ることはなかった。

紫苑は国を去った。何も守れなかった自分には、居場所がないと思った。

この戦いに参加した召喚士と守護者は全員死んだものと思われ、誰も紫苑を探さなかった。

ある日、行き倒れ同然の紫苑を、桔梗が助けた。彼は一人で旅をしていた。

紫苑は野垂れ死ぬつもりはなかったので、しばらく桔梗の世話になることにした。

短い間だが、二人は一緒に旅をした。

紫苑の、新しい居場所を見つけるまでの旅だった。

程なくして二人は、誰も紫苑のことを知らない、小さな町に辿り着いた。

紫苑はそこを気に入り、暮らすことに決めた。

最後の夜、二人は近くの山に登り、月を見た。

小さな神社の石段に腰かけ、夜が明けるまで一緒に過ごした。

紫苑が目を覚ます前に、桔梗は町を後にした。

それから二十年、三十年と、時は流れた。長命なあやかし族にとって、それが長い時間だったのか、

短い時間だったのかはわからない。更に時は経ち、紫苑は新たな召喚士のもとへと呼ばれた。

「わしはもう、何も失いたくはない」

簪に付けられた「約束の石」が、風に揺られる。

紫水晶を濃くしたような石の縁には、丁寧な金細工が施されている。体の小さな紫苑には、少し不釣合いなほど大きい。

紫苑の肌は、暗闇でもそうとわかるぐらいに白い。

月光を浴びる紫苑の横顔に、桔梗は一瞬心を奪われそうになる。

夜にしか咲かない、真っ白な花がある、という話を訊いた事があるのを思い出す。

見たことはないが、きっと美しいのだろう。

「…何を呆けておる?」

紫苑はぴょん、と地面に降りると、着物の裾を直しながら、桔梗の方に向き直った。

「参るぞ、若造共が待っとる」

桔梗が頷き、二人はゆっくりと、森の外へ向かって歩き始める。

決戦の地、そして新たな「仲間」の待つ場所へと。

アースガルズ族とは?

神族の血を引くとも言い伝えられる種族で最初の十夜戦争から参加している。

総じて高い魔力を持つが、繁殖力が低く非常に人口が少ない。

雲の上に都市を築いており、地上との交流が殆ど不可能な閉鎖的な国だったが、近年は通信技術の発達により徐々に他国との外交も増えつつある。

寡黙なるジェムサマナー

主人公

失われた力、《召喚魔法》を受け継ぐシュテアネ族の召喚士。
呼び出したガーディアンに、自らの魔力を分け与える能力を持つ。
召喚された種族も年齢も異なる個性豊かなガーディアンたちに、内心戸惑いを感じている。
無口な性格だが なんとしても自分たちの世界を守り抜くという覚悟を胸に秘めて戦う。

種族
シュテアネ

『主人公』

『紫苑』

「こうして会うのも、随分久しぶりじゃのう?桔梗」

夜空を見上げながら、紫苑がつぶやく。深い森の中にある少し開けた場所、

月明かりに照らされる瓦礫の上に並んで腰かけ、紫苑と桔梗は月を見ていた。

太陽が昇れば、この月もしばらく見られなくなる。

白夜が始まるのだ。

「覚えておるか?わしらが最後に会った日も、一緒に月を眺めたことを」

数百年に一度、世界を襲う厄災。

かつてこの世界が犯した過ち、その罪を償い続けるかのような、終わらない戦。

いつしかその戦は「十夜戦争」と呼ばれるようになった。

「約束の石」を持つ者達が召喚士の下に集い、虚空の門より現れる侵略者達を迎え撃つ。

十日間に渡り、世界を覆いつくそうとする侵略者。無事に攻撃を凌ぎ切れば、再び門は閉じ、世界は元の姿を取り戻す。

侵略者達を止める事が出来なければ、待っているのは破壊だ。

ひとたびそれを許してしまえば、門が閉じた後の世界が元通りになる保証はない。

紫苑にとって、今回は二度目の戦いだった。

彼女にはかつて仲間がいた。

守るべき故郷があった。

愛すべき友人も、家族も。

一度目の戦いは、紫苑のすぐ側で起こった。紫苑の周りの世界はすっかりかたちを変え、元に戻ることはなかった。

紫苑は国を去った。何も守れなかった自分には、居場所がないと思った。

この戦いに参加した召喚士と守護者は全員死んだものと思われ、誰も紫苑を探さなかった。

ある日、行き倒れ同然の紫苑を、桔梗が助けた。彼は一人で旅をしていた。

紫苑は野垂れ死ぬつもりはなかったので、しばらく桔梗の世話になることにした。

短い間だが、二人は一緒に旅をした。

紫苑の、新しい居場所を見つけるまでの旅だった。

程なくして二人は、誰も紫苑のことを知らない、小さな町に辿り着いた。

紫苑はそこを気に入り、暮らすことに決めた。

最後の夜、二人は近くの山に登り、月を見た。

小さな神社の石段に腰かけ、夜が明けるまで一緒に過ごした。

紫苑が目を覚ます前に、桔梗は町を後にした。

それから二十年、三十年と、時は流れた。長命なあやかし族にとって、それが長い時間だったのか、

短い時間だったのかはわからない。更に時は経ち、紫苑は新たな召喚士のもとへと呼ばれた。

「わしはもう、何も失いたくはない」

簪に付けられた「約束の石」が、風に揺られる。

紫水晶を濃くしたような石の縁には、丁寧な金細工が施されている。体の小さな紫苑には、少し不釣合いなほど大きい。

紫苑の肌は、暗闇でもそうとわかるぐらいに白い。

月光を浴びる紫苑の横顔に、桔梗は一瞬心を奪われそうになる。

夜にしか咲かない、真っ白な花がある、という話を訊いた事があるのを思い出す。

見たことはないが、きっと美しいのだろう。

「…何を呆けておる?」

紫苑はぴょん、と地面に降りると、着物の裾を直しながら、桔梗の方に向き直った。

「参るぞ、若造共が待っとる」

桔梗が頷き、二人はゆっくりと、森の外へ向かって歩き始める。

決戦の地、そして新たな「仲間」の待つ場所へと。

シュテアネ族とは?

希石を使うことで、遠くの人間を使役する能力『ジェムサマナー』を持つ種族。

召喚師自身に戦う力はないが、召喚した相手の能力を増幅させる力を持つ。戦争においては指揮役になる。 十夜戦争以外では、封印の島で羊を飼って細々と暮らしている。外部との交流がないため、シャイな人間が多い。

古に大戦を引き起こした邪悪な王も、シュテアネの一人だったという伝説がある。

十夜の案内役

ヤンス

ゴーレムと呼ばれる、主人公たちの案内役となる人造生命体。戦闘能力はない。
はるか昔から十夜戦争の案内役としての使命を担っており、今回の戦いでも主人公たちを導くための助言をする。
いつ誰が何のために作ったのかは不明で、本人も覚えていないらしい。

種族
ゴーレム(非戦闘員)

『ヤンス』

ッキイィーン……

金属が震えるような起動音が脳内に響く。前回起動したのはいつだったか。ログを辿る。ついでに現在地と現在時刻も検索する。目を開けて、周囲を見渡す。

「…目が覚めたかい?えーと、ヤンス」

小さく枯れた声で、名前を呼ばれた。首をそちらへ向ける、ピントを合わせ、ぼんやりしていた視界をクリアにする。誰か立っている、逆行でよくわからないが、声から察するに老年の男性だろう。

「…おはようでやんす」

身体を起こし、ぺこりとお辞儀をする。おはようございます、と口にしたつもりだったのだが、いつの頃からか、私の言葉にはおかしな口調のフィルターがかかるようになっていた。明らかなバグだと思うのだが、これといって不便もなかったので、もう放置している。

「よく寝たようだね、ははっ」

今まで通りなら、百年単位でスリープしていた筈だ。埃を被らないように、蓋付きの箱に収められていたこの身体。立ち上がり、手足の関節がちゃんと動くか確認する。

「仕事だよ、仕事」

男性が続ける。

「あいつらが来る。わかるな?あいつらだ」

言い聞かすように繰り返す。侵略者の事だ。忘れるわけがない。何故なら私は、奴らを撃退するために存在しているから。奴らの侵攻を食い止めるため、私は協力者である新たなマスターに仕えねばならない。

「あなたが今回のマスターでやんすか?」

「いや、ワシじゃないよ。孫が外で待ってる。狭いからな、外で待たせておる」

小さな石造りのこの部屋は、何人も入ってくる事を考慮されていない。私が眠るためだけに作られた、小さな寝室。ベッドは布が詰められた、この石の箱。箱には私の身体にあるものと同じような幾何模様が刻まれている。なんなら素材も一緒かもしれない。

「よいしょ」

身体を揺らし、背中に薄い光の膜を出現させる。形作られた翼は、勝手にヒラヒラと揺れ始める。実際に羽ばたいて空を飛ぶわけではないのに、この光翼を出さないと飛べない。製作者の遊び心なのか。

ヤンスは音もなくゆっくりと浮かび上がり、フワフワと男性の後ろを付いて行った。灰のように真っ白な長髪が目に入った。これは種族特有のものである。彼の頭髪は若いころからこの色だった筈だ。同じ色の髪をしたマスターに、私はかつて仕えていた筈だった。きっともうこの世にはいないのだろう。

寝室は地下にあり、地上までの階段を登らねばならない。まぁ、私は飛んでいるので特に関係ないのだが。入り口を抜けると、外は快晴で、澄み切った青空に輝く太陽が眩しかった。季節はちょうど春。まるで冬眠から目覚めた動物みたいだ。周りには特に目立つものも無い高原。眠りに就いた時から、何か変わっただろうか?

「おーい、おーい」

男性が呼ぶと、少し離れた場所に立っている、肌の白い人物が振り返る。この場所は小高い丘の上にある。きっと下の景色を眺めていたのだろう。複雑な文様が描かれたモノトーンのローブを着たその人物が、ゆっくり歩いてくる。胸元には《召喚士》の証である白い希石が輝いていた。オパールのように、淡く七色に輝く石。形はちょっと違うが、私のおなかにも同じものが付いている。

「こいつがワシの孫だ、今回お前さんと一緒に戦う召喚士、ほれ、挨拶せんか」

促されて、召喚士は頭を下げる。老人と同じ真っ白い髪の毛。透き通るようなパールピンクの瞳が、無言でこっちを見つめている。かなり若く見えるが何歳ぐらいだろう。彼らの寿命を考えると十数歳から二十数歳の間か。

失われたはずの力、《召喚魔法》の一部を受け継ぐ唯一の種族、ジェムサマナー。かつては召喚士の一門の呼び名だった筈だが、いつしか彼ら自身を現す言葉となっていた。彼らはその力で、守護者達を呼び寄せ、侵略者を食い止める。世界が望まぬ形に、書き換えられぬように。

「よろしくでやんす」

「こんな所にいても仕方ない、とりあえずワシの家に来るといい、うん」

男性はそう言うと、すぐに歩き始めた。確かにここには何もない。周りを見渡しても、緑と黄色の斑模様の景色が広がっているだけの、時の止まったような場所。かつて人の営みがあった事を示唆する遺跡が点在しているものの、何も知らない者が見ればただの瓦礫か岩にしか見えないだろう。《聖域》とも称されるこの大きな島には、もう召喚士の一族以外は暮らしていない。断崖絶壁に囲まれ、他の大陸とも遠く離れたこの島は、外の世界との交わりを拒むように存在し続けている。寂しい場所だが、私にはとても美しく見える。このままずっと変わらずに、私がゆっくりと眠れる場所であり続けて欲しい。…人工物である自分が、そんな事を考えるのはおかしいだろうか。

私はいわば「記録係」とでも言うべき存在だった。十夜戦争の際に目覚め、召喚士とその仲間、《ガーディアン》を導くのが役目。戦いが終われば再び眠りに着き、次の戦いを待つ。そうして、戦いの記憶を受け継いでいく。この身体が朽ち果てるまで。

それだけのために作られた筈の自分が、何故感情を持っているのか、不思議だった。ただの記録装置に、恐れや感傷といった気持ちがあったら、邪魔ではないのか。感覚も同じだ。作り物の身体だが、優しい風が肌を撫でるのを感じ取ることができる。

視線を感じて目を上げる。…どうやら動きが止まっていたらしい。若きマスターが、振り返ってこちらを見ていた。早く来い、とでも言いたげに。男性に至ってはもうだいぶ前を歩いている。

「…」

目が合う。考えを見透かされるような、真っ直ぐな瞳。なんだかばつが悪くなる。

「変でやんすよね。ただの自動人形が、色々と余計な事を考えちゃうんでやんすよ」

ははっ、と作り笑いをする。この身体は、感情に対応して、様々な表情を作ってくれる優れものだ。少し間を置いてから、変じゃない、とでも言うように、召喚士は静かに首を振った。

「感情は…必要」

消え入るような小さな声で、召喚士がつぶやく。話しながら、少しずつ視線が外れていく。どうやら相手の目を見て喋るのが苦手らしい。

「心が無ければ…侵略者と、同じ」

言い終えると、そのまますぐに早足で歩き始めてしまった。顔には出さなかったが、照れているようだった。

「そう…でやんすね」

その通りかもしれない。この感情が無かったら、今の自分は存在するだろうか。この世界を美しいと思う心が無かったら、果たして私は、誰かを助けようと思うのだろうか。

以前もこんなやりとりがあった気がした。かつてのマスターだったろうか。曖昧な記憶。困った事に、こういった会話は記録されていかない。

「…喋れるんでやんすね」

ヤンスは独りつぶやく。今回の召喚士様は無口で、しかも相当な照れ屋のようだ。もうすぐここへガーディアン達がやってくる。十日間の戦争が、始まる。…上手くゆけば良いのだが。

ゴーレムとは?

はるか昔、世界を守った召喚師が希石で造ったゴーレム。

戦う能力を持たないが封印戦争の知識を持ち、召喚師の子孫とガーディアンたちの戦いをサポートする

ガーディアン
『射止める弾丸』

サザナミ

CV : 笹倉 豊

エクレール族の銃兵。
高い頭脳と卓越した射撃能力を持つ、軍学校の生徒。サボり癖があり成績はイマイチ。
他者との関わりを面倒に思っている傾向があるものの、戦場では冷静な判断力で指揮を執る事もある。
後輩であるカナデには慕われているが、冷たくあしらいがち。

種族
エクレール
タイプ
長距離攻撃タイプ

『サザナミ』

ダークグレーの建造物の屋上で、サザナミは無機質な街並みを眼鏡越しに見下ろしていた。点在する水色の魔力灯がかろうじて町を彩っているが、エクレールの造った街はとても華やかとは言い難い。

教室棟と訓練棟を結ぶ渡り廊下の屋上。見える風景はともかく、サザナミはこの場所が好きだった。穏やかな風が、無造作な青髪を撫でる。

退屈な学校生活とも、しばらくお別れだな。

そんなことを思いながら、コバルトブルーのガンケースに目を落とす。中には最新鋭のライフルが収納されている。撃ち出されるのは鉛の弾丸ではなく魔力の結晶。試作品も含め、この国に3丁しかない特別製だ。サザナミ自身は何度か実戦を経験しているが、これを使うのは初めてだった。

「お前も遂に実戦デビューか…無事に持って帰れなかったら、弁償できる自信はないな」

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サザナミの所属する《王立マギアアカデミー》

魔力を制御し、インフラやガジェットなど、様々な目的に役立てようとする科学技術である《応用魔法》に関する研究活動を行う機関であり、軍学校も兼ねている。生徒であるサザナミはここで、歩兵としての訓練をこなしながら、応用魔法を用いた特殊な携行武器の扱いを学んでいる。このライフルもその一つだった。この世界に存在する魔法生物と呼ばれる特殊な生き物。その中でも特に危険なものを駆除するために開発され、日夜改良が進められている。

アカデミー随一の射撃の腕前と、学科でもトップクラスの成績を持つサザナミに、国から直々の任務が与えられたのは、一週間ほど前の事だった。

教員に呼び出され、サザナミが理事長室へ行くと、青い口ひげを蓄えた、見知らぬ中年エクレールがソファに座っていた。

「王立マギアアカデミー、歩兵科訓練生のサザナミ君だね」

男が立ち上がり、サザナミに話しかける。身長が高く、服の上からでも良く鍛えているのが判る。エクレール陸軍の制服を着ていなかったら、格闘家か何かだと思っていただろう。

「はぁ」

知らない男に急に名前を呼ばれ、怪訝そうな顔で声を漏らすと、きちんと返事をしろ、と教員に一喝された。サザナミは成績こそ良いが、残念ながら品行方正とは言い難い生徒だった。教員の風当たりも強い。

「私はエクレール陸軍、魔法生物対策部隊長官、イワクニ大佐だ」

魔法生物対策部隊。城壁に囲まれたこの国に、望まれぬ訪問者が現れぬよう外で睨みを利かせる連中だったか。主に害獣駆除を行う部隊。サザナミはそう認識していた。以前実習だかで、ハンティングのような任務に参加させられた記憶がある。その時この男がいたかは、もう覚えていない。

「まずはこれを受け取って欲しい」

差し出されたのは、サザナミが左腕に装備しているものと同型と思われる、白い通信デバイスだった。よく見るとサザナミのものと違い、奇妙な形に加工された、青い宝石のようなものが埋め込まれている。最新型なのだろうか?

「単刀直入に言おう。君に、この世界を救う任務を与える。」

「…ふざけてるのか?」

「サザナミィィ!」

教員がテーブルを叩く音が、理事長室に響いた。

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シャワーを浴び、夕日が差し込む寮の自室で、ベッドに寝転がりながら昼間の出来事を思い出すサザナミ。

「やっぱりふざけてる…」

一人つぶやくと、夕日を遮るためにカーテンを閉め、再び横になる。ルームメイトは先週の訓練中に怪我をして、現在は病院にいる。怪我は治っているのだが、復帰できない精神状態らしい、との噂だった。噂の真相はどうでも良かったが、実質一人部屋になっているのがサザナミにはありがたかった。

今日与えられた情報を整理する。

サザナミに与えられた任務は、《十夜戦争》と呼ばれる作戦への参加。目標は、この世界に明確な敵意を持っている《侵略者》と呼ばれる魔法生物。便宜上、魔法生物と呼称しているが、解析が進んでいない未知の存在であり、生物であるかどうかも怪しいらしい。十日間に渡り、その侵略者が出現する《門》と呼ばれるポイント付近で迎撃体制を取り、目標を撃破、侵攻を食い止める。というものだった。その十日間を凌ぎ切れば、再び門は閉じ、侵攻も終わる。

門から現れる侵略者は、放置すればウイルスのようにこの世界の生態系を書き換えてしまう厄介な存在だという。「世界を救う任務」というのも、あながち冗談ではないようだ。

ここまではまあ理解できた。昼間に会ったナントカ大佐が所属する魔法生物対策部隊の仕事も、それに近いものだとサザナミは認識していた。問題は、サザナミが選ばれた理由と、作戦の場所。

「選ばれたエクレールのメンバーは全部で二人。そのうちの一人として、《希石》が君を選んだ。光栄に思いたまえ」「作戦の場所はまだわからない。一週間もすれば、その希石が光り輝き、君は然るべき場所に召喚されるだろう。健闘を祈る」

新しく支給された通信機に埋め込まれている青い宝石、希石と言っていたか。この石に選ばれた《ガーディアン》だけが侵略者に触れることができる。持ち主となるガーディアンはこの石が選ぶという。どうだ、オカルトだろう。プレス機にぶち込んでしまおうかと思ったが、もしこの話が国家ぐるみのジョークでなかった場合、軍規違反で銃殺される恐れがあったのでやめておいた。

そういえば数百年前にも同じような出来事があったと、なにかで習った気がする。自分には関係がない、昔話だと思っていたのだが…。

その日サザナミは、夕食を食べに行かずにそのまま朝まで寝てしまった。

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次の日から、サザナミは十夜戦争に関する文献を漁り始めた。不満をつぶやいているだけでは建設的ではないので、その戦争のことを調べ尽くしてやろうと思った。サザナミは周囲からやる気の無い人間だと思われているが、実際はそうでもない。応援しているアイドルのライブ中継を観に行く事と、未来において自分が楽に生きる為の準備は欠かさない。

「理不尽には慣れてる。元はといえば、俺達は奴隷だったからな」

かつて虐げられていた種族特有のジョークを口にしながら、アカデミーのライブラリーにある本や資料に片っ端から目を通すサザナミ。前回の十夜戦争の資料が、思ったよりもたくさん出てきた。そりゃそうか、そんな大災害の記録が残っていないわけがない。異形の侵略者、廃墟に変えられた街、といった資料に目を通すうちに、サザナミは不安に駆られる。

「俺は、生きて帰れるのか…?」

侵攻を食い止められず、不毛の地となった国の記事を見つけた。召集されたメンバーの力が及ばなければ、当然そうなる。それだけは避けなければ。サザナミは恐れる気持ちを抑え、侵略者の資料に手を伸ばす。

あの軍人が話していた冗談みたいな言葉の一つ一つが、現実味を持って襲ってくる。

「いや、生きて帰ってみせる。見知らぬ戦場で死んでたまるか…!」

侵略者の調査が終わったら、次は他の大陸に暮らす様々な種族や、《召喚士》と呼ばれる指揮官。《クリスタル》と呼ばれる、守るべき存在。次々と現れるキーワードを、片端から調べていく、自分たちは何と戦い、何を守るのか。どんな仲間がいて、どうすれば戦いに勝てるのか?サザナミは必要と思われることも、必要ないかもしれないことも、必死に調べ続けた。あっという間に一週間が過ぎた。

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「緊張してますか?センパイ」

エクレールの女子生徒が、大きなサイドテールを揺らしながらサザナミの顔を覗き込む。今回のパートナーだと、教員から紹介された少女、カナデ。

どういう基準で選ばれたのか全く分からない、実戦経験もない新入生のお嬢様。

「別に」

自分の事だけでも手一杯なのに、女子生徒の面倒など見ていられない、と適当にあしらっていたのだが、どうもそれが気に障ったらしく、グイグイ絡んでくるようになってしまった。彼女なりの意地があるのだろう。

「私、センパイのお役に立てるように努力しますね!一緒にがんばりましょう!!」

「ああ…無理はするなよ」

笑顔で話しかけてくるカナデ。怖くはないのだろうか?自分は彼女を守れるのか?一瞬、そんなことを考えてしまう。

希石の輝きはいよいよ強くなっていた。程なくして、俺たちは見知らぬ戦場に放り込まれるのだろう。

さて、どんなチームが待っているやら…

エクレール族とは?

この世界でもっとも数が多い民族。魔力を持たず身体能力も高くないが、希石のエネルギーを使用することで科学を発展させ、戦闘能力をブーストする兵器を使い戦う。

近代的な文明を持ち、規律ある軍隊が存在する。『サザナミ』と『カナデ』はその中でも優秀な成績を持つエリート兵士。

多様な種族が住むこの世界の中では、比較的冷静さを持つものが多い。そのため、十夜戦争において個性豊かなガーディアンたちのまとめ役を押し付けられやすいのが悩みのタネ。

ガーディアン
『溢れる愛情』

カナデ

CV : 葉月 真衣

エクレール族の槍兵。
軍学校に入学して間もない、サザナミの後輩生徒。まじめで成績優秀な頑張り屋。
実戦経験は皆無だが、憧れの先輩であるサザナミに認められるため、共に戦う事を決意する。
おっとりした性格だが頑固なところがあり、自分で決めたことは絶対に曲げようとしない。

種族
エクレール
タイプ
近接攻撃タイプ

『カナデ』

沈まない太陽が、平原の草木をうっすらと照らしている。
カナデのスピアの切っ先が青く煌き、《クリスタル》めがけて蠢く《侵略者》の身体を軽やかに引き裂く。
遠い昔に戦場で使われていた魔力のみなもと《希石》。エクレール族の技術で加工し、武器に魔力を供給している。侵略者を迎え撃つために開発された最新鋭の槍だ。
それは使い手の内に秘められた能力を最大限に引き出し、カナデの可憐さとは裏腹に恐ろしい切れ味を発揮する。

最後の一体だった侵略者が霧散するのを確認し、大きなサイドテールをかきあげると左腕の通信デバイスを起動した。
埋め込まれた石が水色に発光し、カナデの青髪を照らす。

「終わりました~!合流します!」
「了解、こっちも片付いた。お前たちが最後だな。」

エクレール族の相方であるサザナミの返答を確認し、通信を切る。これでこのエリアの防衛は完了した。
白夜の平原が、再び静寂を取り戻す。明日には森に進み、予定通り最深部の遺跡を目指すことになるだろう。

「カナデって、戦ってる時わくわくしてる感じするよね」

さきほどクリスタルを共に防衛した、グリフル族の女戦士ポワカが声をかけてくる。
大きな爪のついた手甲が武器で、頭には狼の耳が生えている。顔のペイントがチャームポイントだ。
召喚士のもとに集ったろくに面識もない、育った環境も価値観も異なる4種族のちぐはぐチームの中で、ポワカはそれぞれの仲を取り持つよう気を遣ってくれている。
カナデよりも幼い印象があるが、お姉さん気分の話し方をするのがほほえましい。

「そんな感じに見えるの?センパイにいい所見せなきゃって、張り切っちゃってるから…かな?」

戦闘モードだったスピアを操作し、システムを待機モードに切り替える、槍頭の青い光が消えた。

「ふぅん。サザナミがカナデの強さのみなもとなのかな?」
「みなもと…?そうなのかな?」
「希石は人の想いが強いほど、力を発揮するってあたしのお祖母ちゃんが言ってたの」
「想い…」

カナデは左腕を上げ、通信デバイスに埋め込まれた青い希石を見つめる。
召喚士がカナデたちガーディアンを呼び出す際にも希石が使われており、ガーディアンも一人一個、それぞれ希石を身に着けている。
召喚士とガーディアンの結びつき、想いが深いほど、希石によってガーディアンの力が増幅される…とポワカが祖母に伝え聞いた話を説明する。

「カナデがサザナミを大好きな気持ちが、希石でカナデの馬鹿力のみなもとになってるのかもって思ったの」
「馬鹿力ってけっこうな言われよう…じゃなくて!大好きって…私そういうつもりじゃ…」

さくらんぼのように赤く染まったカナデの頬を、ポワカが笑いながらぷにぷにとつつく。

「ずっとサザナミの背中を目で追ってるんだもん。わかるよ」
「えぇぇー…恥ずかしい…」

悶えるカナデをなだめながら、不思議そうな表情をポワカが浮かべる。

「大好きなのはわかるけど…なんでサザナミなのかな?って部分がフシギ。サザナミは悪いやつではないと思うけど、無愛想だし…」

歯に衣着せぬポワカのコメントに、思わずカナデが吹き出す。グリフル族はまっすぐで隠し事ができない性質と聞いているが、ここまで素直だとは。

「この人は私の特別、って気がついたんだよね」

******

カナデは優秀な学生だった。
その場で求められている、もっともベストな相手が求める答えを直感で見つけることができる。
家族や教師、皆が求めるままに学び続けた結果、気がつけばエクレール族でも特に優れた者のみが入学することができる、《王立マギアアカデミー》に推薦されていた。
軍学校を兼ねた、魔法の研究機関である。

優秀な成績でアカデミーに入学したカナデは、学校内でも指折りの実力者と評される男子生徒――サザナミとコンビを組むよう命じられた。
この学校には伝統的に、「師匠が弟子を育てるように、先輩が後輩の面倒を見る」という教育システムがあった。
アカデミーの母体となった組織のひとつに、職人たちの厳格な徒弟制度が存在していたことの名残である。

「サザナミさんかぁ…イケメンだったらどうしよう」

教員に呼び出されたカナデは、会議室のような空き教室でサザナミと初めて対峙した。
ボサボサの青髪に、黒縁の眼鏡をかけたその男子生徒はカナデにこう言い放った。

「俺は自分以外の人間に期待していないし、下手に頑張らずにそこらで遊んでいてくれて構わない。足を引っ張られたら面倒だ」

目を合わせることなく、カナデが握手を求めた手も宙に浮いてむなしくスルーされる。
教員が叱る声も全く意に介さず立ち去るサザナミの後姿を、呆然と見送るしかなかった。なにこの人。

******

――超超超感じ悪い!何を考えてるんだろう。
訓練棟のシャワールームで、カナデはここ最近の怒りを噛み締めていた。
サザナミとコンビを組んで一週間が経過したが、彼はカナデを煙に巻いてすぐ一人でどこかに行ってしまうし、
何かを聞いても「自分で考えろ」「今は忙しい」ぐらいの答えしか返ってこない。
コンビを組む目的は、先輩の技術や心構えを教わったり、一緒に任務をこなすことなのに、これでは何も意味がない。
腹立たしい。最近サザナミのことばかり考えている自分にも腹が立つ。

「今まではみんながして欲しいこと、すぐわかったのになぁ」

石鹸をものすごい勢いで泡立てながらつぶやく。今までカナデは、周りが求めるように動いて結果を出す事が当たり前だった。
みんながやるべきことを教えてくれる。私はそれに従えばいいだけ。それでみんなは喜んでくれた。
でも、サザナミは何を考え、何を望んでいるのかまったくわからないし、何も教えてくれない。彼は今までカナデの周りにいた、誰とも違う存在だった。

「私、どうしたらいいのかな…」

石鹸から生まれた小さなシャボン玉が、いくつもふわふわと舞っている。何で私が悩まなくちゃいけないんだろう。私は悪くないのに。
考えながら俯くと、パーテーションに備え付けられた小物置き場に誰かの眼鏡があるのを見つけた。忘れ物かな、後で事務に届けよう。
カナデがまだぶつぶつ言いながら石鹸を無限に泡立てていると、背後に人の気配を感じた。
この時間にここに来る生徒といえば、カナデかルームメイトのリッカぐらいしかいない。
いつものようにルームメイトがやってきたと思い、カナデは外を確認した。

「りっちゃん?」

そこにいたのはカナデが想定したルームメイトのリッカではなく、制服を着た男子生徒だった。
トマトでもここまで赤くならないだろうというレベルの顔色のサザナミが、驚いた表情のまま立ち尽くしている。

「いや、これは」
「おまわりさーーーーーんッ!!!!」

カナデは反射的にシャワーヘッドを壁から引きちぎり、モーニングスターの要領で頭めがけて殴りかかる。
実戦経験こそないものの、格闘訓練は一通りこなしている。的確に急所を狙ったスムーズな攻撃がサザナミを襲うが、
日々訓練をこなしているのは彼も同じ、間一髪攻撃を回避し、シャワーヘッドが壁に突き刺さった。右に大きく跳んで、シャワー室の入り口に移動する。

「くそ、もう女子の入浴時間だったか…!」

眼鏡を忘れて取りに来たのだとカナデに説明し謝りたいが、今は無理そうだ。ここは一旦離脱して、落ち着いたらゆっくり弁明しよう…今は逃げないと殺される。
思考を巡らせながら脱衣所に戻ろうとした刹那、カナデがえいっ!と何かを投げつけてきた。それはサザナミが忘れていった眼鏡だった。

「うおぉい!」

大事な眼鏡をキャッチしようと反射的に前に身を乗り出すサザナミ。
しかしタイミングを合わせるように、全身泡だらけのカナデがサザナミに向かって踏み込んできた。
右腕を思い切り振りかぶっている。

「しまっ…」

しまった、といい終わる前に、サザナミは意識を失った。
眼鏡に気を取られ隙を晒したサザナミの無防備な顔面に、カナデの渾身の右ストレートがクリーンヒットしたのだ。

サザナミが意識を取り戻すと、脱衣所の床に、両腕をタオルで縛られた状態で正座させられていた。
制服の胸元が鼻血で赤く染まっている。
カナデが氷のように冷酷な声で尋問を始める。彼女はもう制服ではなく、紺色のジャージに着替えていた。

「…忘れ物を取りに来ただけ?ホントですか?」
「そうだよ…眼鏡をシャワールームに忘れて、まだ男子の入浴時間だと思っていたから…」
「じゃあなんで逃げたんですか?間違えましたごめんなさいって謝ればいいじゃないですか!!」
「そんな雰囲気じゃなかっただろ!」

殺されるかと思ったわ!と叫びながら、サザナミの声のトーンが落ちていく。

「…あ、いや、本当に悪かったよ…頼むからもう許してくれ…」

懇願するような眼差しで弁明するサザナミをみて、カナデは初めて彼が自分と目を合わせたことに気がつく。
――この人、意外とかわいい目してるんだ。

普段はポーカーフェイスのセンパイが、トラブルとはいえこんなに情けない表情で自分を見上げている…。
ぞくぞくとサディスティックな快感がカナデを支配する。私だけが見ることができる、この人のいろんな顔がもっと見たい。
クールな表情だけじゃなくて、まだ見たことのないかわいい顔や、かっこわるい顔も、全部――

******

サザナミとの出会いを話し終えると、カナデはきゃーっと両手で顔を覆い、上半身をギュンギュンくねらせる。
槍が倒れて岩にぶつかり、ガラン!大きな音を立ててる、ポワカがビクッと肩を震わせる。

「そのときからね、この人に認められたい、なにがなんでも振り向かせたい!って思うようになったの。態度は相変わらずだけど、最近はちょっと話も聞いてくれるようになったし…」
「そ、そっか…色んな恋のはじまり方がある…よね…?」

ポワカのやや引き気味な様子に気づかず、カナデはうっとりした顔で語り続ける。

「今まで、みんなの要求に応えてなんとなーく頑張ってきた。でも、そこに私自身が何かしたいって気持ちはなかったんだ。
…十夜戦争の話を聞いたときも、最初はびっくりしたけどすぐに受け入れられた。私にはやるべきことがあるんだ、って…」

ポワカが黙って話を聞く。

「でもね、いまセンパイに認めて欲しいっていうのは、私自身の望み。初めて自分の意思で何かが欲しい、何かがしたいって思えた。
自分のために頑張るのも、大変だけどすごく楽しいって気づけた…センパイと一緒に戦うことになったのも、きっと運命なんだって…!」

ガーディアン同士は、希石を通じて、想いを魔力に転化する。
互いに助け合い、信じあう絆を作ることで、ガーディアンは本当の強さを手にする。ポワカは祖母からそう伝え聞いていた。
サザナミに対し、一方的に暴走する恋する乙女、カナデ。夢見るような表情で話し続ける彼女を見ながら、ポワカは考える。

「カナデとサザナミの想いはちゃんと通じ合ってるのかな…?それにみんなとあたし、召喚士さんの気持ちも…」

エクレール族とは?

この世界でもっとも数が多い民族。魔力を持たず身体能力も高くないが、希石のエネルギーを使用することで科学を発展させ、戦闘能力をブーストする兵器を使い戦う。

近代的な文明を持ち、規律ある軍隊が存在する。『サザナミ』と『カナデ』はその中でも優秀な成績を持つエリート兵士。

多様な種族が住むこの世界の中では、比較的冷静さを持つものが多い。そのため、十夜戦争において個性豊かなガーディアンたちのまとめ役を押し付けられやすいのが悩みのタネ。

ガーディアン
『忠義の刃』

桔梗

CV : 中島 和輝

あやかし族の剣士。
剣一筋の侍で、単体での戦闘力は随一。自信過剰なところがあり、他人と足並みを揃えるのが苦手。
長命な種族で、100年前の十夜戦争でも紫苑と別の戦場で刀を振るい、勝利を納めている。
長く生きているせいか話が長く、何かを語り始めると止まらなくなる事がある。

種族
あやかし
タイプ
状態異常攻撃タイプ

『桔梗』

六畳ほどの小さな和室で、桔梗は武具の手入れをしていた。大きな太刀と甲冑以外のものが殆ど見当たらない、殺風景な部屋だ。ろうそくの火が、浅黒い肌から生えた二本の鬼灯色の角を照らす。

あと七日もすれば、彼は見知らぬ場所で、その大きな刀を振るっている事だろう。甲冑の胴部分に取り付けられた《希石》。紫に輝くその石は、かつて師と仰いだ男より受け継いだ形見の品だ。かつて桔梗は、《ガーディアン》であったその男に代わり、戦った。

《十夜戦争》

百年に一度、《召喚士》と呼ばれる存在が、希石に選ばれたガーディアンを集め、戦う。異界の《門》より現世に這い出る、《侵略者》と呼ばれる存在を自らの手で退治する。彼らに触れ、倒すことができるのはガーディアンのみ。石を持たない者は、触れることができず、ひとたび侵略者に敵意を向けられれば、一方的に命を奪われることになる。敵意と言ったが、彼らにはそもそも意思などないのかもしれない。

侵略者を封印する結界となる《クリスタル》を狙う存在。石が壊されれば今度は無差別に周りの物を襲い始める。まるでこの世界に恨みでもあるかのように、動物、植物、大地、全てを無に還そうとする。

桔梗は守護者として、十夜戦争に勝利した。

犠牲者を出す事もなく、数え切れぬほどの侵略者を切り伏せ、誇らしい気持ちで都へ戻った。自分は世界を守った。帰れば、また平穏な世の中が待っている。そう思った。

現実はそう簡単ではない、と知ったのは、少し時間が経ってからだった。戦いが終わった後は、連日の様に勝利の宴が催され、桔梗は英雄扱いだった。ある夜、桔梗は別の場所で起きた十夜戦争の話を耳にした。

ここからそう遠くない別の場所。隣の国でも、門は開いていた。そこでは、桔梗のいた戦場とは比べ物にならない規模の侵攻が起こっていたらしい。十日目の夜に、召喚士、ガーディアンともに全滅。その中には、桔梗と同じあやかし族の者も居たという。石は破壊され、結界は弱まった。夜が明けるまでの間、門からは濁流の如く侵略者が溢れ出た。門の出現地点となっていた山はおろか、麓の町までもが蹂躙された。大きく拡大した暗紫色の門は、さながら虚空に開いた痛々しい傷口の様だったという。

桔梗は愕然とした。

自分は、たまたま自分の目の届く範囲を守れただけに過ぎない。世界を見渡せば、あちこちで被害は出ているのだろう。そしてそれは、自分には想像もできないぐらい大きなものかもしれない。

気づくと桔梗は旅に出ていた。その足は、甚大な被害が出たという隣国を目指していた。何故そうしたのかはわからないが、彼は自分の力で、困っている誰かを救えるのではないか、と考えたのだろう。桔梗は若かった。

程なくして、彼は行き倒れていた一人の女性を助ける事になる。彼は知らなかったが、その女性こそが、先の戦いで全滅したと思われていたガーディアンの一人、紫苑だった。透き通るような白い肌と、艶やかな葡萄色をした長い髪が印象的な美しい女性だったが、その表情には深い悲しみが張り付いていた。

彼女は新しい家を探している、とだけ話した。桔梗は、その小柄なあやかしの女性の居場所を、一緒に探すことにした。

何故旅をしているのか、と彼は聞かれた。経緯を話すと、紫苑はこう言った。

「少なくともお主は自分の役目は果たした。何も恥じることは無かろう。自分の力以上のモノを抱えようとすれば、抱えきれない分は全部こぼれ落ち、壊れてしまうぞ」

彼女の言葉は、その見た目とは裏腹にとても力強かった。同時にそれは、彼女自身に言い聞かすようにも見えた。桔梗は少し救われた気持ちになった。自分が世界の全てを守りたい、などというのは傲慢な考えだったかもしれない。確かに自分の剣で守れるものは限られている、限られているとしても、手が届くものを守ることに、全力を尽くすしかないのだ、と。

やがて紫苑の居場所が見つかり、二人の旅は唐突に終わりを告げた。辿り着いたのは、小さな、何も無い町だった。桔梗は、紫苑が寝ている間に、何も告げずに彼女の元を去った。彼女と別れることに未練があるのを自覚していた、不器用な彼なりの判断だった。

国へ戻り、桔梗は、改めて決意した。自分がこの国と、民を守り抜く、と。

それはそれとして、勝手に国を留守にした桔梗には、それなりの罰が与えられた。

あやかし族とは?

数は多くないが、寿命がとても長い一族。山奥に里を作りひっそりと暮らす。

永い時を生きて得た豊富な知識を幻術に活かし、敵を惑わす。

主従関係に忠実で、過去仕えた主君に対して義理を果たす傾向にある。

あやしげな技を使い、気に入った人間を惑わせ陥落させる魔性の種族と噂されている…?

ガーディアン
『知恵のひとひら』

紫苑

CV : 宮木 南美

あやかし族の魔術師。
見た目に反して100年以上生きており、経験豊富なチームの影のまとめ役である。
達観しているように見えるが、かわいい女の子が好きな一面があり、気に入った子によくちょっかいを出して困らせている。
桔梗とは違う場所で過去の十夜戦争に参戦したが、召喚士の力が及ばず敗北。仲間と故郷を失ったため、侵略者の完全な封印を渇望している。

種族
あやかし
タイプ
特殊能力タイプ

『紫苑』

「こうして会うのも、随分久しぶりじゃのう?桔梗」

墨で塗りつぶされたように真っ黒な夜空を見上げながら、紫苑がつぶやく。深い森の中にある少し開けた場所、月光だけが鋭く輝き、瓦礫に腰かける二人のあやかし族を照らしていた。太陽が昇れば、この白銀の月もしばらく見られなくなる。白夜が始まるのだ。

桔梗と呼ばれた二本の角を持つ男性は、大きな身体を甲冑に包み込み、紫苑から少し身体を離して座っている。小柄な紫苑とは、親子ほどの対格差がある。

「覚えておるか?わしらが最後に会った日も、こうして一緒に月を眺めた事を」

紫苑が桔梗との距離を詰め、懐かしむような眼差しで語りかける。桔梗は黙って頷き、記憶の奥底にあった紫苑の姿を脳裏に甦らせた。

百年に一度、世界を襲う厄災。

かつてこの世界が犯した過ち、その罪を償い続けるかのような、終わらない戦。いつしかその戦は《十夜戦争》と呼ばれるようになった。

《希石》を持つ者達が《召喚士》の下に集い、虚空の《門》より現れる《侵略者》達を迎え撃つ。十日間に渡り、世界を覆いつくそうとする侵略者。無事に攻撃を凌ぎ切れば、再び門は閉じ、世界は元の姿を取り戻す。侵略者達を止める事が出来なければ、待っているのは破壊だ。

ひとたびそれを許してしまえば、門が閉じた後の世界が元通りになる保証はない。

紫苑にとって、今回は二度目の戦いだった。彼女にはかつて仲間がいた。守るべき故郷があった。愛すべき友人も、家族も。

一度目の戦いは、紫苑のすぐ側で起こった。紫苑の周りの世界はすっかりかたちを変え、元に戻ることはなかった。

紫苑は国を去った。何一つ守れなかった自分には、居場所がないと思った。この戦いに参加した召喚士とガーディアンは全員死んだものと思われ、誰も紫苑を探さなかった。

ある日、行き倒れ同然の紫苑を、桔梗が助けた。彼は一人で旅をしていた。紫苑は野垂れ死ぬつもりはなかったので、しばらく桔梗の世話になることにした。

短い間だが、二人は一緒に旅をした。紫苑の、新しい居場所を見つけるまでの旅だった。もう一人ではないという安心感からだったのだろうか、秋も終わりに近づこうという寒い頃であったにも関わらず、紫苑の心はぽかぽかと暖かかった。

程なくして二人は、誰も紫苑のことを知らない、小さな町に辿り着いた。あやかしとは明らかに異なる外見の種族もいた。様々な理由があってこの町を選んだ者たちが集まっていた。紫苑はそこを気に入り、暮らすことに決めた。最後の夜、二人は町の近くの山に登り、月を見た。今日と同じような、突き刺すように美しい満月だった。見捨てられたような小さな神社の石段に腰かけ、二人は夜が明けるまで一緒に過ごした。

そして、紫苑が目を覚ます前に、桔梗は町を後にした。

それから二十年、三十年と、時は流れた。長命なあやかし族にとって、それが長い時間だったのか、短い時間だったのかはわからない。更に時は経ち、紫苑は新たな召喚士のもとへと呼ばれた。

「わしはもう、何も失いたくはない」

簪に付けられた希石を、夜風が揺らす。《ガーディアン》に選ばれた証である、紫水晶を濃くしたような石。その縁には、丁寧な金細工が施されている。体の小さな紫苑には、少し不釣合いなほど大きい。

紫苑の肌は、暗闇でもそうとわかるぐらいに白い。月光を浴びる紫苑の横顔に、桔梗は一瞬心を奪われそうになる。夜にしか咲かない、真っ白な花がある、という話を訊いた事があるのを思い出す。見たことはないが、きっと美しいのだろう。

「…何を呆けておる?」

紫苑はぴょん、と地面に降りると、着物の裾を直しながら、桔梗の方に向き直った。二つに結ばれた髪が、動きに合わせて小さく揺れる。

「参るぞ、若造共が待っとる」

桔梗が頷き、二人はゆっくりと、森の外へ向かって歩き始める。決戦の地、そして新たな「仲間」の待つ場所へと。

あやかし族とは?

数は多くないが、寿命がとても長い一族。山奥に里を作りひっそりと暮らす。

永い時を生きて得た豊富な知識を幻術に活かし、敵を惑わす。

主従関係に忠実で、過去仕えた主君に対して義理を果たす傾向にある。

あやしげな技を使い、気に入った人間を惑わせ陥落させる魔性の種族と噂されている…?

ガーディアン
『加速する牙』

ポワカ

CV : 寺島 あかり

グリフル族の格闘家。
大家族の長女で、面倒見のよい性格。他のガーディアンとも分け隔てなく接するが、文化の違いに戸惑う事もしばしば。
幼少期からガーディアンとなるべく育てられており、未知の侵略者への恐怖心は持ち前の精神力で抑えつけている。
優れた格闘センスを持ち、幼馴染のアロをよく組み手で負かしていたらしい。

種族
グリフル
タイプ
近接攻撃タイプ

『ポワカ』

『紫苑』

「こうして会うのも、随分久しぶりじゃのう?桔梗」

夜空を見上げながら、紫苑がつぶやく。深い森の中にある少し開けた場所、

月明かりに照らされる瓦礫の上に並んで腰かけ、紫苑と桔梗は月を見ていた。

太陽が昇れば、この月もしばらく見られなくなる。

白夜が始まるのだ。

「覚えておるか?わしらが最後に会った日も、一緒に月を眺めたことを」

数百年に一度、世界を襲う厄災。

かつてこの世界が犯した過ち、その罪を償い続けるかのような、終わらない戦。

いつしかその戦は「十夜戦争」と呼ばれるようになった。

「約束の石」を持つ者達が召喚士の下に集い、虚空の門より現れる侵略者達を迎え撃つ。

十日間に渡り、世界を覆いつくそうとする侵略者。無事に攻撃を凌ぎ切れば、再び門は閉じ、世界は元の姿を取り戻す。

侵略者達を止める事が出来なければ、待っているのは破壊だ。

ひとたびそれを許してしまえば、門が閉じた後の世界が元通りになる保証はない。

紫苑にとって、今回は二度目の戦いだった。

彼女にはかつて仲間がいた。

守るべき故郷があった。

愛すべき友人も、家族も。

一度目の戦いは、紫苑のすぐ側で起こった。紫苑の周りの世界はすっかりかたちを変え、元に戻ることはなかった。

紫苑は国を去った。何も守れなかった自分には、居場所がないと思った。

この戦いに参加した召喚士と守護者は全員死んだものと思われ、誰も紫苑を探さなかった。

ある日、行き倒れ同然の紫苑を、桔梗が助けた。彼は一人で旅をしていた。

紫苑は野垂れ死ぬつもりはなかったので、しばらく桔梗の世話になることにした。

短い間だが、二人は一緒に旅をした。

紫苑の、新しい居場所を見つけるまでの旅だった。

程なくして二人は、誰も紫苑のことを知らない、小さな町に辿り着いた。

紫苑はそこを気に入り、暮らすことに決めた。

最後の夜、二人は近くの山に登り、月を見た。

小さな神社の石段に腰かけ、夜が明けるまで一緒に過ごした。

紫苑が目を覚ます前に、桔梗は町を後にした。

それから二十年、三十年と、時は流れた。長命なあやかし族にとって、それが長い時間だったのか、

短い時間だったのかはわからない。更に時は経ち、紫苑は新たな召喚士のもとへと呼ばれた。

「わしはもう、何も失いたくはない」

簪に付けられた「約束の石」が、風に揺られる。

紫水晶を濃くしたような石の縁には、丁寧な金細工が施されている。体の小さな紫苑には、少し不釣合いなほど大きい。

紫苑の肌は、暗闇でもそうとわかるぐらいに白い。

月光を浴びる紫苑の横顔に、桔梗は一瞬心を奪われそうになる。

夜にしか咲かない、真っ白な花がある、という話を訊いた事があるのを思い出す。

見たことはないが、きっと美しいのだろう。

「…何を呆けておる?」

紫苑はぴょん、と地面に降りると、着物の裾を直しながら、桔梗の方に向き直った。

「参るぞ、若造共が待っとる」

桔梗が頷き、二人はゆっくりと、森の外へ向かって歩き始める。

決戦の地、そして新たな「仲間」の待つ場所へと。

グリフル族とは?

寿命は短いが繁殖力が強く、エクレールに次いで人口の多い種族。好戦的で身体能力が高く、戦士としての強さでコミュニティの中の地位が決定する価値観を持つ。自然の中で生きることを好むため、身につけるものも自然由来のものが多い。

敵対勢力に対して非情だが、仲間や家族と認めた相手への情はあつい。

直情的で、良くいえば素直、悪く言えば単純バカな性格で、友達を作るならまっすぐなグリフル族!と評判。

ガーディアン
『大地の怒り』

アロ

CV : 大久保 宇将

グリフル族の戦士。
熱い闘志を持った若き戦士。怪力が自慢だが、まだ自分の力を制御しきれないため一人前とはいいがたい。
プライドが高く、弱い者は絶対に認めないという信念があるが、空回りして自分がミスを犯す事もしばしば。
根は甘えん坊らしく、幼少期を知るポワカには色々弱みを握られているようだ。

種族
グリフル
タイプ
広範囲攻撃タイプ

『アロ』

『紫苑』

「こうして会うのも、随分久しぶりじゃのう?桔梗」

夜空を見上げながら、紫苑がつぶやく。深い森の中にある少し開けた場所、

月明かりに照らされる瓦礫の上に並んで腰かけ、紫苑と桔梗は月を見ていた。

太陽が昇れば、この月もしばらく見られなくなる。

白夜が始まるのだ。

「覚えておるか?わしらが最後に会った日も、一緒に月を眺めたことを」

数百年に一度、世界を襲う厄災。

かつてこの世界が犯した過ち、その罪を償い続けるかのような、終わらない戦。

いつしかその戦は「十夜戦争」と呼ばれるようになった。

「約束の石」を持つ者達が召喚士の下に集い、虚空の門より現れる侵略者達を迎え撃つ。

十日間に渡り、世界を覆いつくそうとする侵略者。無事に攻撃を凌ぎ切れば、再び門は閉じ、世界は元の姿を取り戻す。

侵略者達を止める事が出来なければ、待っているのは破壊だ。

ひとたびそれを許してしまえば、門が閉じた後の世界が元通りになる保証はない。

紫苑にとって、今回は二度目の戦いだった。

彼女にはかつて仲間がいた。

守るべき故郷があった。

愛すべき友人も、家族も。

一度目の戦いは、紫苑のすぐ側で起こった。紫苑の周りの世界はすっかりかたちを変え、元に戻ることはなかった。

紫苑は国を去った。何も守れなかった自分には、居場所がないと思った。

この戦いに参加した召喚士と守護者は全員死んだものと思われ、誰も紫苑を探さなかった。

ある日、行き倒れ同然の紫苑を、桔梗が助けた。彼は一人で旅をしていた。

紫苑は野垂れ死ぬつもりはなかったので、しばらく桔梗の世話になることにした。

短い間だが、二人は一緒に旅をした。

紫苑の、新しい居場所を見つけるまでの旅だった。

程なくして二人は、誰も紫苑のことを知らない、小さな町に辿り着いた。

紫苑はそこを気に入り、暮らすことに決めた。

最後の夜、二人は近くの山に登り、月を見た。

小さな神社の石段に腰かけ、夜が明けるまで一緒に過ごした。

紫苑が目を覚ます前に、桔梗は町を後にした。

それから二十年、三十年と、時は流れた。長命なあやかし族にとって、それが長い時間だったのか、

短い時間だったのかはわからない。更に時は経ち、紫苑は新たな召喚士のもとへと呼ばれた。

「わしはもう、何も失いたくはない」

簪に付けられた「約束の石」が、風に揺られる。

紫水晶を濃くしたような石の縁には、丁寧な金細工が施されている。体の小さな紫苑には、少し不釣合いなほど大きい。

紫苑の肌は、暗闇でもそうとわかるぐらいに白い。

月光を浴びる紫苑の横顔に、桔梗は一瞬心を奪われそうになる。

夜にしか咲かない、真っ白な花がある、という話を訊いた事があるのを思い出す。

見たことはないが、きっと美しいのだろう。

「…何を呆けておる?」

紫苑はぴょん、と地面に降りると、着物の裾を直しながら、桔梗の方に向き直った。

「参るぞ、若造共が待っとる」

桔梗が頷き、二人はゆっくりと、森の外へ向かって歩き始める。

決戦の地、そして新たな「仲間」の待つ場所へと。

グリフル族とは?

寿命は短いが繁殖力が強く、エクレールに次いで人口の多い種族。好戦的で身体能力が高く、戦士としての強さでコミュニティの中の地位が決定する価値観を持つ。自然の中で生きることを好むため、身につけるものも自然由来のものが多い。

敵対勢力に対して非情だが、仲間や家族と認めた相手への情はあつい。

直情的で、良くいえば素直、悪く言えば単純バカな性格で、友達を作るならまっすぐなグリフル族!と評判。

ガーディアン
『孤高の光陣』

クランティヴ

CV : 高井 周平

アースガルズ族の絶魔導士(自称)。
生まれながらに、絶大なる魔力を秘めし聖なる刻印を持つ、選ばれし存在…と、本人は言っている。
ガーディアンに選ばれたのは当然の定めであると思っており、詳しい事は自分でもよくわかっていないが特に気にしていない。
思い込みが強く誰にでも上から目線だが、悪気はない。

種族
アースガルズ
タイプ
広範囲攻撃タイプ

『クランティヴ』

『紫苑』

「こうして会うのも、随分久しぶりじゃのう?桔梗」

夜空を見上げながら、紫苑がつぶやく。深い森の中にある少し開けた場所、

月明かりに照らされる瓦礫の上に並んで腰かけ、紫苑と桔梗は月を見ていた。

太陽が昇れば、この月もしばらく見られなくなる。

白夜が始まるのだ。

「覚えておるか?わしらが最後に会った日も、一緒に月を眺めたことを」

数百年に一度、世界を襲う厄災。

かつてこの世界が犯した過ち、その罪を償い続けるかのような、終わらない戦。

いつしかその戦は「十夜戦争」と呼ばれるようになった。

「約束の石」を持つ者達が召喚士の下に集い、虚空の門より現れる侵略者達を迎え撃つ。

十日間に渡り、世界を覆いつくそうとする侵略者。無事に攻撃を凌ぎ切れば、再び門は閉じ、世界は元の姿を取り戻す。

侵略者達を止める事が出来なければ、待っているのは破壊だ。

ひとたびそれを許してしまえば、門が閉じた後の世界が元通りになる保証はない。

紫苑にとって、今回は二度目の戦いだった。

彼女にはかつて仲間がいた。

守るべき故郷があった。

愛すべき友人も、家族も。

一度目の戦いは、紫苑のすぐ側で起こった。紫苑の周りの世界はすっかりかたちを変え、元に戻ることはなかった。

紫苑は国を去った。何も守れなかった自分には、居場所がないと思った。

この戦いに参加した召喚士と守護者は全員死んだものと思われ、誰も紫苑を探さなかった。

ある日、行き倒れ同然の紫苑を、桔梗が助けた。彼は一人で旅をしていた。

紫苑は野垂れ死ぬつもりはなかったので、しばらく桔梗の世話になることにした。

短い間だが、二人は一緒に旅をした。

紫苑の、新しい居場所を見つけるまでの旅だった。

程なくして二人は、誰も紫苑のことを知らない、小さな町に辿り着いた。

紫苑はそこを気に入り、暮らすことに決めた。

最後の夜、二人は近くの山に登り、月を見た。

小さな神社の石段に腰かけ、夜が明けるまで一緒に過ごした。

紫苑が目を覚ます前に、桔梗は町を後にした。

それから二十年、三十年と、時は流れた。長命なあやかし族にとって、それが長い時間だったのか、

短い時間だったのかはわからない。更に時は経ち、紫苑は新たな召喚士のもとへと呼ばれた。

「わしはもう、何も失いたくはない」

簪に付けられた「約束の石」が、風に揺られる。

紫水晶を濃くしたような石の縁には、丁寧な金細工が施されている。体の小さな紫苑には、少し不釣合いなほど大きい。

紫苑の肌は、暗闇でもそうとわかるぐらいに白い。

月光を浴びる紫苑の横顔に、桔梗は一瞬心を奪われそうになる。

夜にしか咲かない、真っ白な花がある、という話を訊いた事があるのを思い出す。

見たことはないが、きっと美しいのだろう。

「…何を呆けておる?」

紫苑はぴょん、と地面に降りると、着物の裾を直しながら、桔梗の方に向き直った。

「参るぞ、若造共が待っとる」

桔梗が頷き、二人はゆっくりと、森の外へ向かって歩き始める。

決戦の地、そして新たな「仲間」の待つ場所へと。

アースガルズ族とは?

神族の血を引くとも言い伝えられる種族で最初の十夜戦争から参加している。

総じて高い魔力を持つが、繁殖力が低く非常に人口が少ない。

雲の上に都市を築いており、地上との交流が殆ど不可能な閉鎖的な国だったが、近年は通信技術の発達により徐々に他国との外交も増えつつある。

ガーディアン
『気まぐれな星』

リュゼ

CV : 三浦 愛恵

アースガルズ族の歌姫。
普段はアイドルグループに所属しており歌を中心に活動しているが、長年に渡る高い人気も最近は下降気味。
突然ガーディアンに選ばれ、最初は逃げようとしたものの、引退前に一花咲かせようと決意し戦場に降り立つ。
外ヅラは良いが、同族であるクランティヴに対してはしばしばキツく当たっている。

種族
アースガルズ
タイプ
特殊能力タイプ

『リュゼ』

『紫苑』

「こうして会うのも、随分久しぶりじゃのう?桔梗」

夜空を見上げながら、紫苑がつぶやく。深い森の中にある少し開けた場所、

月明かりに照らされる瓦礫の上に並んで腰かけ、紫苑と桔梗は月を見ていた。

太陽が昇れば、この月もしばらく見られなくなる。

白夜が始まるのだ。

「覚えておるか?わしらが最後に会った日も、一緒に月を眺めたことを」

数百年に一度、世界を襲う厄災。

かつてこの世界が犯した過ち、その罪を償い続けるかのような、終わらない戦。

いつしかその戦は「十夜戦争」と呼ばれるようになった。

「約束の石」を持つ者達が召喚士の下に集い、虚空の門より現れる侵略者達を迎え撃つ。

十日間に渡り、世界を覆いつくそうとする侵略者。無事に攻撃を凌ぎ切れば、再び門は閉じ、世界は元の姿を取り戻す。

侵略者達を止める事が出来なければ、待っているのは破壊だ。

ひとたびそれを許してしまえば、門が閉じた後の世界が元通りになる保証はない。

紫苑にとって、今回は二度目の戦いだった。

彼女にはかつて仲間がいた。

守るべき故郷があった。

愛すべき友人も、家族も。

一度目の戦いは、紫苑のすぐ側で起こった。紫苑の周りの世界はすっかりかたちを変え、元に戻ることはなかった。

紫苑は国を去った。何も守れなかった自分には、居場所がないと思った。

この戦いに参加した召喚士と守護者は全員死んだものと思われ、誰も紫苑を探さなかった。

ある日、行き倒れ同然の紫苑を、桔梗が助けた。彼は一人で旅をしていた。

紫苑は野垂れ死ぬつもりはなかったので、しばらく桔梗の世話になることにした。

短い間だが、二人は一緒に旅をした。

紫苑の、新しい居場所を見つけるまでの旅だった。

程なくして二人は、誰も紫苑のことを知らない、小さな町に辿り着いた。

紫苑はそこを気に入り、暮らすことに決めた。

最後の夜、二人は近くの山に登り、月を見た。

小さな神社の石段に腰かけ、夜が明けるまで一緒に過ごした。

紫苑が目を覚ます前に、桔梗は町を後にした。

それから二十年、三十年と、時は流れた。長命なあやかし族にとって、それが長い時間だったのか、

短い時間だったのかはわからない。更に時は経ち、紫苑は新たな召喚士のもとへと呼ばれた。

「わしはもう、何も失いたくはない」

簪に付けられた「約束の石」が、風に揺られる。

紫水晶を濃くしたような石の縁には、丁寧な金細工が施されている。体の小さな紫苑には、少し不釣合いなほど大きい。

紫苑の肌は、暗闇でもそうとわかるぐらいに白い。

月光を浴びる紫苑の横顔に、桔梗は一瞬心を奪われそうになる。

夜にしか咲かない、真っ白な花がある、という話を訊いた事があるのを思い出す。

見たことはないが、きっと美しいのだろう。

「…何を呆けておる?」

紫苑はぴょん、と地面に降りると、着物の裾を直しながら、桔梗の方に向き直った。

「参るぞ、若造共が待っとる」

桔梗が頷き、二人はゆっくりと、森の外へ向かって歩き始める。

決戦の地、そして新たな「仲間」の待つ場所へと。

アースガルズ族とは?

神族の血を引くとも言い伝えられる種族で最初の十夜戦争から参加している。

総じて高い魔力を持つが、繁殖力が低く非常に人口が少ない。

雲の上に都市を築いており、地上との交流が殆ど不可能な閉鎖的な国だったが、近年は通信技術の発達により徐々に他国との外交も増えつつある。